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§1 メジラ武勇伝

ちいちゃんの思い出

          メジラ武勇伝


 まず最初にお断り。某メスゴジラより『てめえ、こんなこと流し
てみろ、お前の恥ずかしいことも全部流すからな』というメールが
ありましたので、以下の文章を付け加えます。

 『この物語はフィクションであり、事実や真実ではありません』

 さてと、気を取り直して……

 メジラの武勇伝って、実はあげればきりないほどあるんだけど、
今でも家族の間で語り草になってるのをいくつか上げてみます。


*****************************

(1) お受験タメ口事件

 お受験の面接で、予行演習のお約束を忘れ、応対した面接の先生
に向かってタメ口で答え始めると、聞かれてもいないことまでしゃ
べりだしたんだ。
 いったいどっちが偉いのか分からない様子に場内は漫才でも見て
るみたいに大爆笑。両親は卒倒寸前だったんだって。
 ん……見てみたかった。(*^_^*)

 この時代はまだ今のようにお受験の為の予備校のようなものが
なくて受験する子はその面倒をみてくれる幼稚園へ通うというのが
通例だったんだ。受験対策も今みたいに完璧なものじゃないからね、
こんな間違いだってあったみたいだよ。

 ただ、この件については僕もミイちゃんもメジラにあまり強い
ことは言えないの。…>_<
 …というのは……

 僕も面接の時、先生の言葉尻をとらえて……
 「先生さあ、そんなことも知らないんじゃ世間の人に笑われるよ」
 なんて言っちゃってるし……

 ミイちゃんはミイちゃんで、一番最後に……
 「あのねえ、幼稚園の先生にこう言いなさいって言われたの。
これでいいですか?」
 って確認しちゃったんだ。

 こんな風にみんな完璧じゃなかった。(^_^;)
 何しろメジラを育てたお母さんにぼく達も育てられたんだもん、
大人をフレンドリーな仲間としてみてしまい、立派な人として敬わ
ないところがあるんだよ。だから三人とも大人とのあらたまった席は
苦手なんだ。

**************************

(2) 全裸リンチ事件

 メジラは幼稚園時代も悪だったけど、入学してからもそれは変わら
なかったんだ。
 まだ入学して間もない頃、生意気な男の子を女の子三人で取り
囲み、相手がびびると、全裸にしたうえ正座して謝らせるなんて
ことをしでかしてるんだ。
 
 「男の子ならいざ知らず、女の子のやることじゃない」
 って先生たちはカンカンだったみたいだね。

えっ?男の子ならいいのか?

 もちろん、そんな問題じゃないけど、当時は、男の子以上に女の
子はおしとやかに振舞うのが当たり前という時代なのよ。ハレンチ
な行動は慎まなきゃいけなかったんだ。

 「学園の風紀に関わります。しばらく停学させましょう」
 とか……
 「学校の信用問題です。退学にすべきです」
 なんて意見も出たらしいけど……
 園長先生がメジラのためにお仕置きを考えてくれて……

 『その子の前で全裸で土下座して謝る』ということで、何とか
首が繋がったみたいです。(^^ゞ 

 『そんなこと、学校でできるのか?』

 今では考えられないようなお仕置きが当時は現実的に(法律的じゃ
なく)可能だったんだ。だから、その子や先生たち、お父さんお母
さんたちの見ている前で本当に土下座したみたいだよ。
m(__)mゴメンナサイ

 まるで北野武監督のやくざ映画みたいでしょう。(^◇^;)
 あの人、何かと役者を裸にしたがるから……

 今ならコレってポルノなのかな?でも、ホントのお話だよ。
 夏になるとね、娘(7、8歳くらいまでだけど)を全裸にして
公園で遊ばせてる親が沢山いたんだから。

 僕が見て一番びっくりしたのは小五の子。田舎の川で友達と全裸
で泳いでるのを見たことがあるもん。家まで水着取りに行くのが
面倒だったんだってさ。
 もちろん女の子だよ。男ならそんなの珍しくもないもの。

 『えっ!?男の子でもビックリ?』

 困ったなあ。(^o^ゞそのあたり、現代人にはわからないか。
とにかく今とは常識が違うんだよ。
 当時の田舎は牧歌的で、今みたいに何かというと『いやらしい』
『いやらしい』っては感じでは相手を見てなかったんだ。

 とりわけうちの場合はアットホームな分、お仕置きも厳しくて、
いくら子供への折檻が常態化していた当時とはいえ、周囲と比べて
も図抜けて何でもありの学校だったんだ。

 ただね、それが分かったのは卒業してからの事なの。それまでは
この学校の厳しいお仕置きが社会の常識だって思ってたし、それで
不幸もべつに感じてなかったんだ。

 住めば都っていうけど、僕にとってはお仕置きのデメリットより
先生方誰にでもすぐに甘えられるこの世界が嫌いじゃなかったんだ。
それはメジラだって同じだと思うよ。

**************************

(3) ブロマイド密売事件

 メジラはただ凶暴だっただけじゃないよ。商売人でもあった
んだ。

 あれは彼女が小二の年だったかな、皇太子様が綺麗なお嫁さんを
もらった年で、お父さんはわざさわざ東京まで出かけて行って
その時の様子を写真に撮ってきたんだ。

 遠くからの写真でね、ろくにお二人のお顔も判別できないような
代物なんだけど、メジラはこれをご近所の写真屋さんに持ち込んで
焼き増しすると、ブロマイドと称して、お友だちに1枚50円で
売ってたんだ。

 きっと、お母さんの遺伝子を引き継いだんだろうね。すぐに商売
っ気出すんだよ。(^_^)b
 ただ、お父さんも、お母さんも、もの凄い剣幕で怒ったからね、
お金だけは返したみたい。

*************************

(4) 柿の木落下事件

 これは彼女が小三の時のお話。

 当時、学校の裏庭に危ないから登ってはいけませんと書かれた
柿の木があったんだけど、彼女はその警告を無視。
 男の子たちの要望に応えて登っちゃったんだ。

 ところが、今度は下りられなくなってね、先生たちが見守る中、
落下。

 園長先生にキャッチしてもらったんだけど、先生もその衝撃で
転んでしまって手の骨を骨折。

 先生たちからのお仕置きとは別に、メジラはお家で初めてお尻に
お灸をすえられたんだ。

 その時、ぼくたちもお母さんに無理やり見学させられてたんだ
けど、凄かったね、悲鳴が人間離れしてたもん。

 まさに、メジラの雄たけびだった。

 ( ^▽^;)楽しかったね(^∇^;)ウン

*************************

(5) 女ターザン事件

 これは彼女が小四の時。

 メジラはもともと体育会系の子だから、教室で女の子たちとちま
ちましてるのは嫌いなんだ。

 休み時間はたいてい男の子とお外で遊んでる人なんだ。

 その日もターザンごっこをしていて、木から木へ飛び移って遊んで
たんだけど……その時は、どういうわけかロープがいつもより長くて
……飛び移るのが木の枝じゃなくて職員室になってしまったらしい。

 一説にはメジラが自分でアクロバティクな技を決めようとして
ロープを長くしたけど、子供の浅知恵でイメージどおり行かなかった
とも言われている。

 とにかく……
 窓ガラスにそのまま顔面体当たりで突っ込むメジラ。
\(◎o◎)/!

 見ていた子のお話ではまさにスタント映画も真っ青だった
らしいよ。

 今ならこれ、大事故だったんじゃないかなあ。
 当時の木造校舎の窓ってねえ、窓の桟が薄い木でできてるし、
ガラス自体も今とは比べ物にならないくらい薄かったからね、
子供の体当たりでも破壊できたけど、今なら完全に跳ね返されて
落下してると思うんだ。

 ぼく達が入学した年のことだからよく覚えてるけど、最初は……
 「大変、お前のところのお姉ちゃんが病院へ行ったよ。死んじゃ
ったって……」
 なんて、デマが飛んだほどだったもん。

 お姉ちゃんは一応病院に行ったけど、幸いかすり傷程度だった。

 僕たちも学校へ迎えに来たお父さんと一緒に病院へ行ったんだ。

 その時、お母さんはメジラを抱いて……
 「これはお地蔵様のご加護があったからよ」
 って、ホント、涙を流して喜んだんだよ。\(゚▽゚)/

 だけど、これでめでたしめでたしってことにはならなかったんだ。
(ー_ー;

 家に帰ったら、メジラ二回目のお灸。
 でもって、二度目の雄たけび。

 「ぎゃあ~~~~」(`Д´≡`Д´)!!
 この時はお股の中にもすえられたから前回以上に凄かったんだ。

 お灸のあとも、お姉ちゃんたら四つん這いで……
 「あっ、あっ、あっ」(゜Д゜≡゜Д゜)?
 なんて訳の分からないことを言いながら、お股を押さえて畳の上を
さ迷ってた。

 ( ^▽^;)愉快だったね(^∇^;)ウン、愉快、愉快

 ただ、本人は……
 「別にそこだけが特別熱かったわけじゃないわよ」(`ε´)
 なんてね、うそぶいていたけど。

 ( ^▽^;)負け惜しみだよね(^∇^;)僕もそうだと思うよ

**********************

(6) うんち写真事件

 これも四年生の時のお話。

 今は、世の中の流れを気にして、また当時の先生方が現役を退い
たことをいいことに、「うちでは開校当時から体罰には反対でした」
なんて平然と保護者に嘘を言ってるけど、僕が知りうる限り、僕の
子供時代はその地域ではエリート校と呼ばれる有名校ですら体罰は
当たり前のように行われていたんだ。

 もちろん、それは小説に出てくるような極端な話じゃないし、
色情魔みたいな先生がいたって事でもないんだけど、ある程度、
校長から黙認され、親からも受忍されてたことは確かだし、公式
文書には載らない学校独自の不文律の制度として刑罰化されてた
ことも嘘じゃないんだ。

 ただ、そんな時代の中にあっても僕だちの学校は特別だった。
 なにしろ、お浣腸をお仕置きにしてたんだから………>_<…
 おそらく日本で唯一の学校だったと思うよ。

 そのためもあって(大義名分は子供の健康管理なんだけど…)
子供たちはオマルに用を足した後、出てきたウンコをお家ならお父
さんやお母さんに、学校では先生に見せて記録を取ってもらって
からでないと捨てちゃいけないことになってたんだ。

 そのせいで僕らのウンチに対する意識は一般の子とはだいぶ違っ
ていたんだ。

 よく、世間じゃ「恥ずかしいから、学校でおしっこはしても
ウンチは絶対にしない」って子がいるだろう。
 
 あれがぼく達にはまったくないんだな。
 むしろ、立派にとぐろを巻いたのが出ると友達に自慢したくて
仕方がないんだ。
 これって、女の子も同じなんだよ。
 ウンコはその子が作った工作の作品と同じ感覚なんだよ。

 だから低学年の頃は男の子女の子関係なくお互い立派なウンコを
自慢しあっていました。(*^^*ゞ

 ところが、それが四年生になると、男の子と女の子を先生たちが
分け始めたんだ。

 体操服に着替える場所も、トイレも、男の子は女の子の領域へ
入っちゃいけないって言い出したんだ。

 「どうしてダメなの?」
 「だって、女の子は恥ずかしいもの」
 「嘘だね、この間、亜紀ちゃん家(ち)に行ったら今までと同じ
様にウンコ見せてくれたもん」
 「これから、恥ずかしくなるの」

 僕は先生とこんなやり取りしたけど納得できなかった。僕だけ
じゃないよ。恐らく、この学校の男の子なら全員が納得できない
と思うよ。
 もちろん、お姉ちゃんが四年生だった時だってそれは同じだった
はず。

 だから、男の子は四年生になっても今まで通り女の子のウンチを
見たくて仕方がないんだ。

 それって変な意味じゃないんだよ。純粋な好奇心と親愛の情
なんだから……
 だって、ぼく達、みんな天使なんだもん。

 これって、今の人たちにはたんに皮肉で言ってるように聞こえる
かもしれないけど、ぼく達は本気で『ぼく達は天使だ』って思って
たんだ。

 で、そんな天使達の希望にメジラが一枚かんだのよ。(ー_ー;

 彼女、家からお父さんにもらったハーフのカメラを持ち出すと
女の子たちのウンチを撮りだめては1枚10円で男の子たちに売っ
てたんだ。

 写真館のご主人はそんなうんちの写真なんて受けてくれないから
当時助手だった若いお兄さんを抱き込んでやってた。

 特にクラスの人気者だった女の子には注文が多くて10枚も
プリントしたって喜んでたね。(ー。ー;

 でも、それってさあ、女の子たちはメジラに「いいよ」って
言ったかもしれないけど、その写真を男の子に売るなんて言って
なかったから、その女の子は男の子から自分のウンチを見せられ
て恥ずかしくなったんだ。

 確かに、その場で消えてなくなる現物と違って写真にしてしまう
と、長く残っちゃうからね。意味が違うのかもしれないね。

 で、その子が先生に泣きついちゃったもんだから、メジラは御用。
 お仕置きは一週間のオムツ暮らしだった。

 あっこれ、ショーツがオムツに代わるだけで普通に用は足せるん
だよ。
 ただね、出たものは家で出したものまで全部学校に持って来て
みんなに見せなきゃならないの。これが辛いんだよね。
 しかも、これに関しては男の子も見る事が許されてたんだ。

 メジラのウンチだからどれほど観客があったか分からないけど
……でも、恥ずかしいだろうと思うよ。
 仲間内でわいわいがやがややってるのと違ってお仕置きとして
見られるのはまた別だもん。女の子にはけっこう堪えるお仕置き
みたいなんだ。

 そうそう、それと……
 お母さんのたっての願いで、土曜の午後はオムツ浣腸の刑も行わ
れたんだ。

 お薬をお尻の穴から沢山入れられて…目いっぱい我慢させられて
……そのあと必ずオムツの中にウンチをさせられるってやつ。

 最後はもちろんそのオムツを取り替えてはくれるんだけど……
その時にね……

 「さあ、あなたの心がどれだけ汚れているを目を見開いてよ~く
御覧なさい。……ほら、ほら、目を閉じたらいつまでたっても取り
替えてあげませんよ。いつまで目を閉じてる気?……さあ、勇気を
もってあなたの汚い現実を直視するの。すべてはそこから始まる
のよ」

 ってね……ま、こんな感じで自分のウンチを見せられながら取り
替えるんだ。

 昔、園長先生がよく言ってたよ。

 「ここで、お浣腸のお仕置きができるのは、ここがいかに子供
たちを無垢な心のまま育てているかの証なの。他の学校では真似
しようとしても決してできないことをここではやっているのよ」

 ってね。誇らしげに言ってたんだ。

 (・_・)〆さあ、お浣腸の時間ですよ。

***************************

(7) その他の武勇伝

a)
 テストの点に厳しいお家のお友だちに同情して、テストの時に
その子と答案用紙を交換しあい、その子の分まで答案を書いて
やったまではいいが、再び答案用紙を交換して今度は自分の答案を
書く段になったら時間がなくなり、結局は自分が落第点に……
 こう見えてね、メジラって姉御肌でお人よしなんです。
_〆(・・ )♪

b)
 クレジットカードがまだ珍しかった時代、お父さんのカードを
持ち出してお友達と飲み食い。精算時にカードを出して捕まる。
 彼女、父親がカードを使うのを見ていて、これさえあればどんな
お店でも自分の名前を書くだけでお金がいらないと勘違いしたら
しい。
 ちなみにそのお店はカードの取り扱いはなく、また、カードの
名義もお父さんのだからそもそも使えるわけがない。
 お母さんもそうですけど、メジラに経済観念はありません。
ヽ(^_^;))

c)
 欲しい玩具をお父さんに拒否され、自分でお金をためることを
決意。近所の画家さんに自分をヌードモデルとして売り込む。
 「君では幼いから」と言われたら「だったら裸になってもいい
です」と言ったそうだ。
 どうやらその画家さんはお友だちでご同業の方からモデル探しを
依頼されてたらしいのだが、それはもちろんロリコン画ではない。
 向こう見ずなところもお母さんそっくりです。(⌒~⌒;A

d)
 仮病で学校を休むのには熱がないといけないと思ったらしく
体温計を熱湯に浸けて壊してしまう。
 理科や機械物にも弱い人です。(^∇^;)

e)
 お浣腸のお仕置きを感じた彼女、先手を打ってイチヂクを盗み、
自分で先に使ってしまう。一度やってしまえば二度目はぐんと楽だ
からね。
 でも、そんなことをしても出た量や苦しみ方で分かってしまうの
だが……決断即決、イヤとなったら嫌。これはお母さんからの遺伝
ですね。(⌒-⌒;)

f)
 当時学校のストーブは教室の温度が10度以下の時だけ使用する
ことになっていた。その日は気温11度。残念に思った彼女はその
温度計を氷の張った池に浸けに行って溺れ、用務員(今は技術員
さんか?)さんに助けられる。
 わが姉ながら……馬鹿だねえ。(-。-;)


**************************


<ご挨拶>
メジラのこと、少しはわかってもらえましたか。
でも、僕もミイちゃんも姉を嫌ってるわけじゃありませんよ。
むしろ大好きです。だって、学校ではメジラの弟というだけで
誰も虐めたりしませんし、母の性格もありますが、何より一番
沢山その裸を見た女の人ですから(^0^;)
 (おいおい、それかよ。(-。-;)
ただ、あまりに近しいんで、あらも一緒に見えちゃうんですよ。
これからもよろしくお付き合いください。

[ 第 1 回 ] 日曜日の朝

♪♫♭♮♯♪♫♭❈❈❈ <登場人物> ❈❈❈♪♫♭♮♯♪♫♭

【おうちの人たち】~蔵川家~

僕(小2)……ちいちゃん
これといって才能はないが、長男だから何かと優遇されている
 幸せ者

弟(小2)……みいちゃん
僕よりちょっぴり気弱だけど、理数系に強く、感受性も豊か。
 とっても可愛い顔をしているからみんなに好かれている。

姉(小5)……お姉ちゃん
近所ではメジラと呼ばれ恐れられている乱暴者。
 姉御肌で体育会系。茜ちゃんとも呼ばれている。

従姉妹(小6)…セイちゃん
 事情があってうちで預かっているけど、清楚で上品、頭もいい。
 僕はマリア様みたいに思っている。清美お姉さん。

お父さん(質屋店主)
 東洋哲学と書道が生きがい。お金にならない事ばかりしている
 道楽者。お母さんには頭が上がらない。

お母さん(お父さんの奥さん)
 怒ると信じられないほど怖いけど、普段は優しい一家の大黒柱

おばあちゃん(お父さんのお母さん)
 近所におじいちゃんと住んでいる。お姉ちゃんにはなぜかやた
 ら厳しい。メジラお姉ちゃんの天敵。お灸マニア。

ハナさん(お手伝いさん)
家事がまったくできないお母さんに代って我が家の主婦をして
 いるおばあちゃん

♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 1 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

       ❈❈❈❈❈  日曜日の朝  ❈❈❈❈❈

 倉川家の朝は早い。平日は僕たちを学校へ送り出さなきゃなら
ないから戦場のように忙しいんだ。

 のんびりしているのはお父さんだけ。彼の仕事は幼い僕たち
(双子)の子守りだけなのだが、それも義務ではないらしく寝床
から起きてこないことも多かった。

 逆の見方をすれば、彼はこの家で相手にされていなかったとも
言えるのだ。

 悪い人ではないよ。ぼく達にとっては……
 よく抱っこしてもらったし色んな処へ連れて行ってもらった。
自転車の乗り方やお習字の書き方を最初に教えてくれたのもこの
人なんだ。

 ただ、生来の怠け者でね、働かない人だったんだ。

 普段はお習字をやってるか本を読んでるね。そうそう天井から
床まで届くような大きな和紙(大幅って言ったっけ)に書いたの
を部屋中に何本も掛けて、お友達と批評しあったり、近所にある
お寺の住職と禅問答みたいなわけの分からない会話をして笑って
たりもする。

 要するに変人だったんだ。

 もちろん婿養子なんかじゃないよ。江戸時代から続く倉川家の
れっきとした嫡男。名義上は店主だし、お店(質屋)番もするん
だけど、子どもの僕らからみても熱心じゃなかった。

 ある日、クレームにやってきた人がお父さんを前に長々訴えた
あげく……

 「あんたじゃ話にならん、店主を出しなさい、店主を……」
 と言ったのを覚えてる。

 きっと、お父さんはアルバイト店員ぐらいにしか見えなかった
んだろうね。
 でも、無理もないって感じなんだ。(^ニ^)

 そんなお店の実質的な経営者はお母さん。
 だから、普段はとっても忙しく働いていたんだ。

 自慢じゃないけど、幼稚園へだって二人して路線バスに乗って
行ったんだ。忙しいお母さんは玄関先でいってらっしゃいするだけ。
 今ねえ、幼稚園の子が親に手を引かれて通園してるのを見ると、
「甘ったれやがって」なんて思っちゃうんだよね。(`ε´)

 そんなお母さんも日曜日は休む。
 いや、お店は365日無休のお店なんだけど、日曜日、それも
午前中は滅多にお客さんがこないからね、お母さんものんびりし
てるんだ。

 だいたい10時ごろまでは布団の中にいるよ。
 で、ぼくたちはその両脇で寝ている。お母さんの左側が僕で、
右側がみいちゃん。

 どうでもいことだけど、僕がチイちゃんと呼ばれてるのは裾子
で小さいから。弟がみいちゃんなのは、彼がいつも母親の右側に
いるからで名前とは関係ないんだ。

 また、話がそれちゃったけど……(^^ゞ
 いえね、お母さんがいつまで寝ていたって構わないんだけど、
お母さんって人は僕たちにも一緒に寝てろって強制するんだよ。

 つまり、本当は僕たちもう起きたいのに布団から出さしてくれ
ないんだ。

 「ほら、お布団から出ないの。まだ、ネンネの時間よ。日曜日
ぐらいゆっくりでいいでしょう」

 常に自分本位な彼女は、家族の誰もがお腹がすいているという
現実には目もくれないんだよね。
 だから、「お腹がすいた」なんて言って見るんだけど……

 「そんなに急がないの。まだ、お店が開いてないわ」
 彼女はそう言ってぼくを再び自分の懐の中に抱き入れるんだ。

 ちなみに、平日は、お手伝いのハナさんがいるから朝ごはんを
作ってくれるだけど、日曜日は、そのハナおばあちゃんもお休み
だからね、なおのこと、お母さんはゆっくりしているんだ。

 たとえこちらにやる仕事がなくても他人が目の前で働いてるの
に布団の中には居にくいんだってさ。

 というわけで、そのぐうたら朝寝坊に付き合わされる僕たちは
仕方がないからたいていお母さんのおっぱいで遊んでる。

 小二の子にしてはちょっと幼いけど、お母さんのオッパイの先
をぷにぷにしたり、舐めたり、しゃぶったりの独り遊び。
 でも、おかあさんがそれに文句を言うことはないんだ。

 時にはミイちゃんも参加して二人で馬乗りになってやってみる
んだけど、この人、全然堪えないんだ。( ̄O ̄)Zzz

 むしろ……
 「おっぱい欲しいの?いいわよ、でも、でないわよ」
 なんて言っちゃう人なんだから。

 えっ、そんなことして楽しいか?

 ん~~微妙だね。そりゃあ小二ってまだ赤ちゃんに近いからね、
そんな事してても強い違和感があるわけじゃないだ。ミルクなん
か出なくてもお母さんのおっぱいは楽しいよ。ただ、うちのお母
さんってAカップなんだ。仰向けに寝るといよいよおっぱいって
呼べるようなものはなくて先っちょだけなんだよ。( ̄q ̄)

 そこで下の方を探検に行くと……
 「そこはダメよ」
 って言われちゃうんだ。

 そこで、その日は仕方なくミイちゃんはメジラの方へ行った。
 メジラはミイちゃんを抱くようにいつもお母さんの右側で寝て
いるからね、寝返りを打てば抱き合えるくらい近いところにいる
んだ。

 一方、僕はセイちゃん(清美お姉さん)の方へ行ってみる。
 お姉さんはこの中では唯一の中学生で従兄弟。そのせいだろう
か、僕たちのお母さんとはちょぴり距離がある。
 他人の家でご飯を食べさせてもらっているという負い目がある
のか日頃からとても慎みぶかく、また清楚にしていた。

 ここにこうやって寝るのもすでに中一なら拒否してもよさそう
なもんだけど、『僕ら兄弟の面倒をみてほしい』というお母さん
の大義名分を受け入れてここで寝ているんだ。

 健気だろう。(・。・)
 お姉ちゃんは自分の部屋もふかふかのベッドもお家の中にちゃ
ん用意してあるんだよ。一緒にざこ寝しなくてもいいのに、それ
でも、ここで僕らと一緒に寝ているんだ。
 お母さん、ああ見えて結構寂しがりやなんだよ。

 「おねえちゃま」
 僕はお母さんにさえあまり使わない幼児語で声を掛ける。
 すると、お姉さんはは優しく抱き入れてくれるのだ。(*^_^*)

 健気だろう。(・。・)
 僕は嬉しいけど……☆ヽ(∇⌒*)よろしぅ♪

 これがメジラなら、鼻の先でおっぱいを突いてみたり、よだれ
を垂らしたりですぐに姉弟ケンカになるんだけど、僕も清美お姉
ちゃまの前ではそんなことはしなかった。

 お行儀よく寝袋代わりにそこで体を丸めて寝るだけ。清楚で、
品のよい子の場合はこちらもそれで十分だったんだ。

 そうこうしているうちに時計が10時を打つ。

 その音を聞いてようやくお母さんが起き上がった。
 まだ寝たりないが仕方がないといった寝ぼけ眼で布団を出ると、
箪笥の引出しを開けて中の財布を僕に向かって無造作に投げる。

 中身は8歳の子が持つには大金だけど、彼女はそんなことを気
にするような人ではないんだ。

 「チイちゃん、ミイちゃんとパン買ってきて」

 「何でもいいの?」

 「何でもいいよ。アンパンとクリームパンとジャムパンは五つ。
あとはあなたたちの好きなのでいいから」

 頭をぼりぼりかきながら胡坐座り。めったに口にしないタバコ
をふかすことも……でも、こんなにお行儀の悪いお母さんを見る
のはこの時だけだ。

 『あっ、お股もかいた』(◎-◎;)

 ま、メジラの母親だから、地はこんなものなんだろうけど……
普段とりすましているのは田舎では名家とされる倉川家に嫁いだ
プレッシャーから居住まいを正しているのかもしれない。

 ちなみにパンがいずれも菓子パンなのは、当時、田舎のパン屋
にはまだ惣菜パンというものがなかったから。もちろん食パンは
あったけどお母さんにとってはバターを塗るのさえ面倒だった
んだ。
 当然コンビニ弁当なんてものもないよ。要するに安直にお腹に
入るものと言えば菓子パンくらいしかなかったんだ。(^◇^)

 もちろん、世間一般では主婦と呼ばれる人たちが日曜日だって
忙しく働き家族の為に朝ごはんを作ってたよ。でも、我が家では
ハツおばあちゃんがお休みの日曜日はその仕事をする人がいない
からね、こうなるのだ。

 お母さんができないのは何も炊事だけじゃないよ。
 洗濯も、裁縫も、とにかく家事と名の付くものはまったくだめ
だったんだ。

 「いくつ買ってくるの?」

 「いくつでもいいから、早く行ってちょうだい。お母さんお腹
がすいてるの。けちけちしないでいっぱい買ってくるのよ。足ら
ないより余った方がいいんだから」

 だいたいいつもこんなやり取りがあって、僕たち兄弟が朝食の
買出しに行かされるのが通例だった。

 15分後、二人で抱えられるだけのパンを抱えて帰ってくると、
お父さんも起きて居間でお茶を飲んでいた。
 正確に言うとお父さんはもっと早起きをしていてその間は自分
の趣味の時間を楽しんでいたのだ。

 この人、怠け者だけどもの凄く立派なジェントルマンだからね、
「朝飯まだか」とかね「こんな菓子パンが食えるか」とか「お前
も女なんだから料理ぐらい勉強しろよ」なんて正論は一度も言わ
なかった。(^◇^)

 台所の流しに山と積まれた汚れた食器類を背に、お父さんは
ぼく達が買ってくる菓子パンをみんなと一緒においしそうに食べ
るんだ。

 で、それが終わると、いつもの朝の儀式、仏間に四人の子供達
を並べて般若心経を唱えるという、あれをやるんだ。

 『日曜日ぐらい休めばいいのに』とぼく達は思っていたけど、
ずぼらなお母さんがこれだけは休まなかった。

 で、その日もいつものように菓子パンを食べてから朝のお勤め。
お線香の煙で頭すりすりも終わったから『やれやれ、これで自由
の身』と思った瞬間だった。

 「茜ちゃん、ここへお座りなさい。……たしか、あなたとは、
大事なお約束がありましたよね」

 僕はその瞬間、偶然にもメジラの顔を見たけど、それは色黒の
彼女の顔でさえそれとわかるほど顔面蒼白だったんだ。

 僕はかかわりを恐れてその場を立ち去ろうとしたんだけど……

 「チイちゃん、今日はちょっと待って…ミイちゃんも、ここに
いてちょうだい。…あっ、それから、ごめんなさいね清美さん。
あなたにも手伝ってほしいの」

 お母さんの声のトーン、物腰はさきほど僕に財布を投げた時と
はまったく違っていた。

 ただならぬ気配。(@_@;)
 子供だから細かなことはわからないけど、お母さんが何か重大
な決意をしてこの場に臨んでいるのは、8歳の頭でも容易に感じ
取ることができたんだ。

●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 2 回 ] 仏間での出来事

❈❈❈❈❈❈❈❈❈  [ 第 2 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  仏間での出来事  ❈❈❈❈❈

 姉(メジラ)はすでに正座し、他の三人もその場で正座すると、
お母さんが重い口を開いた。

 「実は、茜ちゃんが、先週、理科と社会で落第点を取ったの。
これは、普段なら落第点のテストなんて公開しませんが、今回は
……あえて見てもらいます」

 そう言ってお母さんが大事そうに取り出したのは、お経の本に
挟んでおいた二枚の紙だった。

 「げっ!」「何、コレ?」ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ?

 二人とも驚いたのなんのって、そこには『35点』と『45点』
って書かれてたんだ。

 ぼく達はまだ低学年だからね点数を取りやすいけど、それでも
80点以下のテストなんかお母さんに見せたことがなかった。
 85点のテストを持って帰って来た時なんか、殺されるんじゃ
ないかって思うほどすごい顔で睨まれたもん。

 100点とっても当たり前という顔をしているお母さんにこれ
を見せるのはずいぶん勇気がいっただろうなあと思ったけど……
 お姉ちゃんはこれを見せ損なっていた。

 『わかるけどねえ』(^_^;)

 そればかりではないんだ。どうしようか、答案用紙を見ながら
窓辺で思案していた矢先、お母さんに部屋へ踏み込まれてしまった
お姉ちゃんは、慌ててその二枚の紙を窓から捨ててしまったんだ。

 『あとから拾いにいけばいい』
 最初はそう思ったようなんだけど、事はお姉ちゃんの思う通り
にはならなかった。

 風邪に舞った二枚のテスト用紙は、お姉ちゃんが二階から降り
てくるより早く裏の垣根を越えてお隣さんの庭へ。
 親切なそこのおばさんがその日のうちにお母さんの元へ届けて
はくれたんだけど……それがどんな結果をもたらしすか……あと
は誰にでも容易に推測がつくよね。

 「そう言えば、先週の月曜日、お姉ちゃんオムツで学校に来た
よね。あれかなあ」

 「たぶんそうだよ。あの日、随分周りを気にしてたけど、いつ
もより短いスカートだったから、ビニールのオムツカバーが見え
見えだったもん」

 ぼく達はひそひそ話をした。

 学校へ相談に行ったお母さんに園長先生はお姉ちゃんのために
放課後の居残り勉強を手配してくれたんだけど、お母さんが期待
していたこの件でのお仕置きはなかったんだ。

 そして……
 「あまり、厳しい折檻はなさらないように」
 という園長先生の口ぞえまでもらって一旦は帰宅したんだけど
恥をかかされたと思っているお母さんの怒りは収まらないんだ。

 結局……
 「月曜日は園長先生が『お勉強に差し障りがでますから』って
オムツはとってくださったけど、あなた、その後私に約束したわ
よね、居残り勉強が終わったらみんなの前でお仕置きを受けます
って……」

 「は、……はい」

 「覚えてるならいいわ。今日はお灸をすえます」

 「はい」
 メジラがしおらしく小声で答える。親に『お灸をすえます』と
言われて子供は簡単に『はい』とは言えないものなんだ。メジラ
にしてもそれなりの覚悟があったんだろうね。こんな光景、年に
何回も見られるものではなかった。

そんな従順な態度に気をよくしたのだろうね…

 「いいわ、今回はお股の中だけは許してあげます」

 お母さんの方が若干折れて話はまとまったんだ。(^_^;)

 「私の前にいらっしゃい」

 お母さんはメジラ、いえ、茜お姉ちゃんを自分の膝のすぐ前ま
で呼び寄せると、その両手を取ってまずはお説教するんだ。

 「いいですか、悪いお点を取ったことはもちろんいけない事です。
でも、もっといけない事はそのことで嘘をついたこと、そして自分
の悪い行いを隠そうとしたことです」

 お姉ちゃんはこの時すでに泣いてたけど、それは反省してたと
いうよりこれから先のお仕置きに怯えてという感じだった。
 だから……

 「ところで、あなた、どんな嘘をついたの?」

 「えっ?……それは……」
 お母さんのとっさの質問に答えられずにまごつきます。

 「えっと……テスト用紙を窓から投げちゃって……その……」

 「それだけ?…………」
 お母さんは『呆れた』という顔でした。

 「………………………」   

 「いいこと、三愛の単元テストというのは業者さんが作るやさ
しいテストなの。特別なお勉強はいらないの。学校で与えられた
課題をこなしていれば十分100点がとれるようになってるの。
それがどうして35点とか45点になっちゃうの?あなたねえ、
天野さんちでお勉強しますって出かけたけど、あれ、お勉強して
なかったんでしょう」

 「えっ、そんなこと……」
 お姉ちゃんはそこまで言って口ごもります。

 「どうせ、二人でマンガ見て時間潰してたんでしょうが……」

 「えっ……」
 思わずおねえちゃんの顔が上がります。

 「ほら、みなさいな。大方そんなことじゃないかと思ったわ。
そもそもそれが一番最初の嘘でしょう。それがなかったら、悪い
お点も取らないし、テストをお母さんに隠す必要もなかったんだ
から…」

 「………………」

 「御免なさいじゃないの?」

 「えっ……」

 「いいわ、答えられなければ…あなたみたいな馬鹿な子には、
理屈で説明するより、身体で覚えさせないとダメみたいだから」

 お母さんは上体を起こすと、膝まづいた姿勢のままで仏壇の方
へ向かいます。

 「…………」
 そこで両手を合わせて軽くお祈りをすませると、仏壇の引き出
しから何やら取り出し、お明かりから移した新しいお線香をお線
香立てに立てて戻ってきます。

 左手に赤い紙袋、右手には火のついたお線香立て。何をやるか
は明らかでした。

 「ごめんなさい」
 お姉ちゃんは謝りますが……

 「今さら何言ってるの!いいのよ謝らなくても……」
 と、熱のない冷たい返事が返ってきます。

 「いいこと、お尻のお山に片方三つずつ。お臍の下にも三箇所、
前にすえてあげた処があるでしょう。そこに三回ずつすえてあげ
るわ。そのくらいならあなただって我慢できるでしょう」
 お母さんは半紙の上で艾を小さく固く丸めて、すえる分の数だ
け作り置きをします。

 「それで……合計、何回になるかしら?」
 
 「えっ……と……それは…………」
 ただでさえ舞い上がっているお姉ちゃん。いきなり質問されて、
鳩が豆鉄砲を食った時のような目をしています。

 「……九回」
 正確に答えられるはずがありませんでした。

 「何言ってるの。十五回でしょう。そのくらいすえてあげれば、
あなたの頭の天辺にも『これは悪いことしたんだなあ~~』って
信号が届くはずよ」

 「そんなあ~~」
 お姉ちゃんの顔はもう泣きそうです。当初の予想より厳しいの
で戸惑ってる様子でした。

 「何がそんなあ~~よ。あなた、いつからお母さんの愛が受け
られなくなったの?」
 お母さんがひと睨みすると、

 「……」
 お姉ちゃんは体全体を使って顔を左右に激しく振ります。

 「いいのよ。嫌なら今すぐここを出て行っても………うちには
清美さんっていう立派な女の子がいるんだから……」

 「…………ごめんなさい」
 お姉ちゃんは小さな声でつぶやきます。
 そんなこと言っても、お母さんの怒りが収まらないことは承知
していますが、寄る辺なき身の上のお姉ちゃんはそれ以外何も言
えないのでした。

 もちろん、お母さんが自分を見捨てるはずはないとわかっては
いるのですが、子供はそれでも不安なのです。

 「さてと……それではここへ来なさい。うつ伏せになるの」
 艾を作り終えたお母さんは、正座した膝をぽんぽんと二回ほど
叩いてお姉ちゃんを促します。

 「…………」

 お姉ちゃんに別の道は残っていませんでした。
 『お母さんのお膝の上で熱いおやいとを必死に我慢する』
 どう考えてもそれしか道はなかったのです。

 「…………」

 なかったのですが、だからといって……
 『それではさっそくお邪魔します』☆ヽ(∇⌒*)よろしぅ♪
 とはいかないわけで、お姉ちゃんはしばらくその場を動きません。

 「どうしたの?さあ、いらっしゃい。……ほかの子たちも遊び
に出たがってるのよ。それとも、あなた、この間みたいにお父様
からやっていただきたいのかしら?」

 「…………」
 お母さんにこう言われて、お姉ちゃんはより一層激しく首を横
にします。

 「だったら、いらっしゃい。まごまごしてると、本当にお父様
がいらっしゃるわよ」

 こう言われて、お姉ちゃんはやっと重い神輿を上げたのでした。


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 3 回 ] お灸のお仕置き①

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 3 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  お灸のお仕置き① ❈❈❈❈❈

 お母さんのお膝にうつ伏せになると、お姉ちゃんのお尻がぽっ
こりとそこに乗り、短いスカートからはすでに白いショーツが
見え隠れ。

 お尻叩きならこの姿勢でもいいのでしょうが、お灸はもっと
残酷なことになります。

 「あっ」

 小さな驚きの声が聞こえ、お姉ちゃんの右手が思わず後ろへ
回り込もうとしました。
 お母さんがお姉ちゃんのスカートをめくったのです。

 『お仕置きだからじっとしてなきゃ』
 衝動的な身体の動きをお姉ちゃんが理性で抑えたのを確認
して、お母さんはパンツもずらしてしまいます。

 お姉ちゃんは畳の上に両手で土手を造りその中に顔を埋めて
静かにしていますが、こちらからもその顔が興奮と羞恥で首筋
まで真っ赤なのがわかりました。

 「清美さん、そこのバスタオル取ってくださる」
 お母さんは清美お姉さんにバスタオルを注文すると、それを
四つ折にしてお姉ちゃんのお臍の下に引き込みます。

 続いて……
 「あっ、それから……ほら、そこ出してあるアルコールの……
…そうそれ、お盆ごとこちらへお願いね」

 お母さんが目配せした部屋の片隅には始めから用意しておいた
のでしょう、消毒用アルコールの薬ビンと脱脂綿が乗ったお盆が
置いてありました。

 お母さんは清美さんが届けてくれたこげ茶色のビンを開けて、
アルコールを脱脂綿に充分染み込ませます。
 そして……

 「あぁぁ」

 当然の事のようにそれをお姉ちゃんのお尻の山に擦り込んだ
のです。

 僕たちの学校で覚えてたのでしょうか、お尻叩きの時もお浣腸
の時も、そしてこうしたお灸の時も、お母さんはお仕置きの前に
は必ず子供のお尻をこうやってアルコール消毒します。

 『これから厳しいお仕置きの始まりですからね』

 そんな合図にお姉ちゃんは身を固くして待つしかありません
でした。

 僕たちもアルコールは学校やお家で幾度となく経験がありま
すが、幼い頃お仕置きが怖くてお漏らしをするというのは、だい
たい酷い事をされいてる最中というよりもこの瞬間だったんです。

 お仕置きは刑罰とちがって出来ることに限りがありますから、
できるだけ小さな衝撃で最大限の効果がでるように大人たちは
工夫します。これもそんな工夫の一つでした。

 幸いお姉ちゃんはお漏らしは免れましたが、すでにお尻太股は
鳥肌、寒いわけでもないのに全身が小刻みに震えだしています。

 「お姉ちゃん、可哀想だね」
 みいちゃんが言えば、ぼくも…
 「ほんと、もっとごめんなさいすればいいのに」
 なんて勝手なことを言っては応じていました。

 二人が思わずそんな会話をしてしまうほどこの時のお姉ちゃん
は可哀想な状態だったのです。

 「では始めます。これからお母さんが授ける愛をしっかり受け
止めなさい。愛は甘いものだけではありません。とっても苦いも
のもあるんです。それをよ~くあなたの身体で受け止めなさい。
いいですね」

 お母さんはあらためてお線香に火をつけながら諭します。
 でも、お姉ちゃんからご返事がないので、もう一度、強く言い
なおしたのです。

 「………茜さん、いいですね」(-_-#)

 「はい、お母さん」(>_<")

 「よろしい。……これまではあなたも幼かったのでおばあさま
や武田のおばさん(お隣のおばさん)にしっかり身体を抑えてお
いてもらってましたけど、今日は清美さんにその役をやってもら
います。…………清美さん、お願いね」

 「えっ!?」
 いきなりのご指名に清美お姉さんは戸惑った様子ですが、拒否
も出来ませんから…
 「あっ、はい」
 受けるしかありませんでした。

 「茜、清美さんがやってくださるって、そのままの格好でいい
からお礼をいいなさい」
 お母さんは優しく言いますが、その顔はどこか勝ち誇ったよう
にも見みえました。

 「あ……ありがとうございます」
 お姉ちゃんはすでに涙声です。

 「あっ……はい。こちらこそ」
 実は、清美お姉さんがこの時一番戸惑っていたようでした。

 「茜、あなたを抑えてくれるのが今日は清美さんなので、あま
り激しく暴れるとお姉さんの顎を蹴り上げてしまいますからね。
必死に我慢なさい」

 「はい」

 「やがては誰の力も借りず一人で我慢しないとね」

 「はい」

 「もしあなたが暴れてお姉さんの手が離れるようなことがあっ
たら、お父様をお呼びしてお股の中にお灸をすえていただきます
からね。そのつもりでいなさい」

 「…………」
 お姉ちゃんはその瞬間ショックで一瞬声が出なかったみたい
です。

 男の子の僕たちにはよく分かりませんが、女の子はお母さんに
お仕置きされるのと、お父さんにされるのでは随分と心持が違う
ようでした。

 「ご返事は?」
 再びお母さんに促されて…

 「はい」
 今度も小さな声でした。

 「あなたもそろそろ山猿を卒業して一人前の女性になる訓練を
始める頃にきてるわね。でも、その前に…洗いざらい恥をかいて
おく必要があるから、今年の夏はヤングレディースの合宿にでも
参加させてみましょうかね」

 お母さんは独り言でも言うようにお姉ちゃんに語りかけながら
最初の二つをお姉ちゃんのお尻のお山に乗せていきます。
 そこには、すでに以前すえられた痕が、大豆くらいの大きさで
残っていました。

 ヤングレディース合宿というのは男の子には関係ありません
が、彼女たちの噂話を聞く限り、レディとなるための資質を身に
つけるための地獄の特訓ということでした。

 「さてと……清美さん、この子の両足首を押さえてね、あまり
暴れるようなら手を離しても構わないわ。そのあとの事はさっき
言ったようにこの子が引き受けるでしょうから……」

 「さてと……」
 おかあさんのその言葉を合図に、やがて白い煙がひと筋ふた筋
すうっと上がって、 

「いやあ、いやあ、あああ、ああああ」

 お姉ちゃんは小刻みに足の甲を叩いて熱さ痛さを体から逃がそ
うとします。本当はもっと強く畳を叩きたかったのでしょうが、
そうすると清美お姉さんが手を離してしまい、自分はお股の中に
やいとをすえられかねません。

 「ひぃ~~いやあ~~いやあ~~~熱い、熱いごめんなさい」

 二度目はたまらず涙声が出ます。

 「だらしないわね、このくらいのことで…いつもの威勢はどこ
へ行ったの?……ちょっとお仕置きされるとピーピー泣き言ばか
り言って……だらしがないわよ」

 「いやいやいや、ごめんなさい、もうしませんもうしません」

 「…はい、はい、わかったわ。ここはもう一回だけよ。これで
おしまいにします」

 お母さんは終始穏やかな口調で諭しますが、いったん堰を切っ
たお姉ちゃんの泣き言は止りません。

 「いやあ、いやあ、もうしません、もうしません、ごめんなさい」

 体を半分よじり、上目遣いにお母さんを見て哀願してみました
が……今度は一転。

 「何見てるの?お仕置きはまだ終わってないのよ。まっすぐ前
を向いてなさい」(-_-#)

 お母さんの強い意志に跳ね除けられてしまいます。

 元の姿勢に戻ったおねえちゃんは乱れた呼吸をを飲み込むよう
に自分を落ち着かせようとしていました。

 「あ~~あああ~~~ああああ~~~~いいいいいいい」
 お姉ちゃんはそれだけしか言いませんでした。言葉にならない
声が部屋中に響きます。

 三回目は声もさらに大きくなり身体を揺すって両手の拳を畳に
叩き付けますから、思わず清美お姉さんも抑えていた足首を一瞬
離してしまいます。
 ところが……

 「いや、いや、いや……」

 思わずお姉ちゃんがその場を這って逃げ出そうとしましたので、
それではいけないんだと気がついてまた抑えてくれました。

 「まったくあなたには呆れるわ。このくらいの事で逃げ出そう
とするなんて…これだから弟たちに示しがつかないんでしょう。
馬鹿にされるんでしょうが……」(-。-;)

 おかあさんはおかんむりです。

 お灸は連続してすえられると二回目、三回目は一回目よりさら
に熱く感じられます。いつもは一回だけのお灸を三回すえられる
というは単純に三倍厳しいお仕置きになったというのではありま
せん。お姉ちゃんにすれば、さらにもっともっと厳しいお仕置き
だったのでした。

 「幸い、粗相だけはしなかったみたいね」
 お母さんは、お姉ちゃんのお臍の下に手を入れると、不始末が
なかったかどうかを確認します。

 そして……
 「もういいわ。今さらあなたの根性なしを責めても仕方がない
から……さあ、表もやってしまいましょう。……次は仰向けよ」

 お仕置きは次のステージへと進みます。

 お姉ちゃんはお母さんの指示でうつ伏せの状態から仰向けに体
を入れ替えようとしましたが、その瞬間でした。

 「パンツなんて引き上げなくていいわ。どうせまた脱ぐんだか
ら……」
 と、また叱られてしまいました。

 「清美さん、今度はその子の頭の方をお願い。始まったらその
子の手を軽く押さえてもらうけど、今はおざぶを二つ折りにして
その上に茜の頭を載せておけばいいわ」

 「あっ、その前に…台所へ行ってポットのお湯を洗面器にあけ
て持ってきてちょうだい。そのついでにお父様が使ってるT字の
剃刀とタオルも……」

 そこまで言うと清美お姉さんの表情が思わずこわばりますが、
それをお母さんも察したのでしょう……

 「大丈夫よ、お父様には断ってあるから…もう使わないわよ」
 と笑顔で語りかけるのでした。

 「…茜、あなたは両手を胸の前で組むの。終わるまではその手
を決して離さないのよ。万が一にもお仕置きの艾を払い除けよう
ならただではおきませんからね」

 「……あ、それから、チビちゃんたち。あなた達にもお手伝い
がありますからね。お母さんのそばへいらっしゃい」

 お母さんは僕たちにまでてきぱきと指示を出します。
 そして、一通り指示を出し終わると……

 「よっこらしょ」

 お姉ちゃんの裸のお尻を正座した自分の膝の上に重そうな仕草
で載せるのでした。


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇


[ 第 4 回 ] お灸のお仕置き②

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 4 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  お灸のお仕置き② ❈❈❈❈❈

 いつもは賑やかなお姉ちゃんがまるで人形のように静かに時を
待っているなか、清美お姉さんが洗面器を持って戻ってきました。

 「ありがとう清美さん。あなたのような子が娘だと大助かりよ。
あなたは茜の頭をお膝の上に乗せてあげてね」

 お母さんはこう言いながらもお姉さんの持ってきた品物で早速
準備を始めます。
 洗面器のお湯でタオルを湿し、まずは茜お姉ちゃんのスカート
を捲ってその割れ目を露にします。

 正直、僕たちだってお姉ちゃんとは毎日のようにお風呂へ入る
けどお姉ちゃんの割れ目をこんなに間近で見るのは初めてでした。

 「…………」
 声には出しませんが、恥ずかしそうなお姉ちゃんは身の置き所
なく静かにしています。

 お仕置きは何もぶったり抓ったりといったことだけではありま
せん。こんな事も、特に女の子の場合は立派なお仕置きとなるの
でした。

 「まあ、あなたのお歳ではこんなものでしょうけど……」
 お母さんは半笑いを浮かべてお姉ちゃんのお臍の下を擦り
ます。そして……

 「でも、一応やっておきましょうね」
 そう言ってお湯で湿したタオルでそのあたりを綺麗に拭き取る
と、お父様愛用のT字剃刀を使ってじょりじょり。

 僕たちの目にはそこはつるつるで髭なんて生えてないように
見えましたが、ほんの僅か、産毛のような柔らかな毛が伸びて
いたみたいです。

 「これでいいわ」
 お母さんは満足そうに仕上がりを手の指で確認すると、今度は
再び例のものを取り出します。

 例のもの……
 そう、アルコールを湿した脱脂綿です。

 「すうすうするけど我慢してね」

 今までお湯のぬくもりで暖かくなっていたその場所が急に熱を
奪われてすうすうします。

 これは次に起こる恐怖の前ぶれと子供たちなら誰でも体感して
しまいますからお姉ちゃんの顔も否応なしに緊張感に包まれます。

 「はっ」
 小さな吐息が聞こえました。

 そんなお姉ちゃんにとって、艾がそこに並べられていくさまは
見ているのでさえ辛いでしょうから目を閉じてしまいますが……

 「目を開けなさい。自分のお仕置きを確認するの。隠したり、
逃げたりでは何にもならないわ」

 お母さんの声は、いつもより低くて小さな声だったのですが、
それだけに凄みがありました。
 ですから、お姉ちゃんも目を開けてあらためて自分のお臍の下
に並べられていく艾を眺めます。

 当然、火をつけるところも……
  
でも、火のついたお線香の頭を艾に当てたのは、実はお母さん
ではありません。僕たちだったんです。

 「お姉ちゃまがこれからよい子になりますようにってお地蔵様
や観音様にお願いしながらすえるのよ」

 そう言いながらお母さんは僕たちの手を包み込んでアシスト。
全てのもぐさに点火したのでした。

 最初は僕が点火した艾がお姉ちゃんのお臍の下を焦がします。

 「ああああ、いいいいいい、ひひひひひひひ」

 お姉ちゃんはひきつけを起こした赤ちゃんのように身体を硬直
させ、言葉にならない低い声をだして、その熱さを必死に体から
逃がそうとしていました。
 その光景は熱いと言うより、凍えて寒いと訴えるようだったの
です。  

 「さあ、今度はミイちゃんの番よ。お姉ちゃまかよい子になり
ますように、お地蔵様、観音様お守りください」

 やり方は同じです。そして、お姉ちゃんがひきつけを起こす処
までは同じだったのです。
 ただ、最後の一瞬は体を大きくよじって、本当に辛そうでした。

 「ほら、茜ちゃん、清美さんがあなたの為にせっかくお膝を枕
として貸してくださってるのに撥ね退いたりしたら失礼よ」

 「はい、お母さん」

 あのお姉ちゃんが、この時は従順に答えたのですが……

 「いいわ、次のお灸でまた枕を跳ね除けたりしたらお股の中に
もお灸をすえます。いいですね」

 「はい、お母さん」

 「いいご返事だこと。あなたもお仕置きの時ぐらいは女の子ら
しさが見えるようになったわね。その調子で素直で忍耐強くして
ないと女の子は幸せにはなれないの。我を張ってても何もいい事
はないのよ」

 お母さんはお姉ちゃんを優しく諭します。でも、それで許した
という事ではありませんでした。

「さあ、もう一度よ。お股の中を火事にしたくなかったら頑張り
なさい」

 こう言って、やはり前二回と同じ場所に艾を置き、最後は僕が
一箇所、ミイちゃんが一箇所、そしてお母さんが一箇所、火をつ
けたのでした。

 「ああああ、いやいやいや、ひいひいひい、ややややや」

 その時はそれまでのどのお灸の時より大きなうめき声が部屋に
響いて、お姉ちゃんの頭は再び清美お姉さんのお膝を飛び出して
しまいます。

 お姉ちゃんにとって三回目は、三人交互にすえたために時間差
が生じてより長く熱さに耐えなければならなかったみたいでした。

 でも、お母さんは……
 「いいわ、今日は頑張ったから……」
 とすまなさそうな顔のお姉ちゃんをねぎらってそれ以上責めま
せん。

 笑顔のお母さんはお姉ちゃんを背中から手を入れて抱き寄せ
ると、涙をタオルで拭き、静かに膝の上で抱きしめます。
 そして…

 「ばあ」
 まるで本物の赤ちゃんを抱いてるみたいにあやすのです。

 「わあ、まるで本当の赤ちゃんみたい」
 ミイちゃんが言えば…

 「ぼくもだっこ」
 と甘えてみます。
 まだ二年生ですからね。成長したと言ってもお姉ちゃんに比べ
ればお母さんのおっぱいは近い処にありました。

 ただ、お姉ちゃんにしてみると、お母さんは同性。しかも自分
の身体も変化し始めて、大人への扉はもう間近に迫っています。
そんななか、その懐で甘えられる喜びに100%浸ってはいられ
ませんでした。

 その微妙な変化をお母さんも当然知っています。知っていて、
あえてこう言うのです。

 「あなたは自分でずいぶん大人になったと思っているみたい
だけど、私やお父さんから見ればまだまだ可愛い赤ちゃんなの。
あなたの身体も心も、みんなみんな私たちの愛の中にあるのよ」

 お母さんはお姉ちゃんに優しく頬ずりをします。でも、その顔
がお姉ちゃんの顔と触れ合うなかでほんの少し変化して、何だか
引き締まったようにみえました。
 そして、こう続けるのです。

 「だから、あなたはお母さんたちに隠し事や嘘をついてはいけ
ないし、身体のどの部分もまだお父さんとお母さんのものなの。
おっぱいも、お尻の穴も、お股の中も、今はまだあなたが勝手に
使っていい場所は一つもないし、隠しておける処も一つもないわ
……分かるかしら?」

 「はい、おかあさん」
 お姉ちゃんにとってそれは自分がオナニーをしたことへの注意
だとわかったようでした。

 「よかったわ。あなたが頭のいい子で……」
 お母さんはまた柔和な笑顔に戻ってまた赤ちゃんをあやすよう
にお姉ちゃんの身体を揺すります。

 でも、そのあと、お姉ちゃまには再び試練が訪れるのでした。

 「さあ、それでは茜ちゃんに今言ったことの証を見せてもらい
ましょうかね」

 お母さんはそう言うと、お姉ちゃんを薄い布団の上に仰向けに
して寝かせて、まるでこうするのが当然だ言わんばかりに、その
両足を跳ね上げたのでした。

 そしてお姉ちゃんがそれにとっさに抵抗すると、少し強い調子
で……
 「さっき、言ったことがまだわかってないみたいね?あなたの
身体は、まだお父さんとお母さんの愛の中にあるの。いやいやは
できないのよ」

 お母さんに言われてお姉ちゃんは観念したようでした。

 お母さんはお姉ちゃんの両足を跳ね上げてその中を濡れタオル
で丹念にしっかりとふきあげます。
 その様子が面白くてぼく達は後ろで見ていました。

 すると、それに気づいたお母さんが振り向きますますから……
『やばい、叱られるかな』と思ったのですが……

 「あら、あなたたち、お姉ちゃんのお股なんか見たいの?」

 こう言うのです。そして、お仕事の手を休めて、それまで遠慮
がちに開いていたお姉ちゃんのお股を両手で大きく広げてくれた
のでした。

 「…………」「…………」

 いえ、もう少し歳がいけば別の感情がわいたかもしれません
が、二人の第一印象は……

 「何だかぐちゃぐちゃしてて気持悪いね」
 「ぼく男の子でよかった。やっぱりおちんちんがあったほうが
いいもん」
 というものでした。

 次はお母さんに矢継ぎ早の質問攻めです。
 「ねえ、お姉ちゃんって赤ちゃん産めるの?」
 「赤ちゃんってどこから出てくるの?」
 「ねえ、おしっこってどこから出るの?」
 「ねえ、女の子っておしっこする時もそこをトイレットペー
パーで拭くんでしょう」
 「ねえ、女の子ってなんでお股を隠したがるの?」
 「そうだよ、そうだよ、僕なんてお父さんやお母さんの前でも
裸ん坊さんで平気なのに、お姉ちゃんはいつもこそこそしてる」

 お母さんはそのすべてに答えたわけではありませんでしたが、
おしっこの穴と赤ちゃんが出てくる穴だけはこの時教えてくれた
のでした。

 もちろんぼく達はその後ろでお姉ちゃんが真っ赤な顔や真っ青
な顔をしていたなんて知る由もありませんでした。

 実は、僕たちがお姉ちゃんのお股の中を見る機会というのは、
この時ばかりではありません。中学に入るまでの短い期間でした
が、数回、お姉ちゃんはぼく達に『女の子の生きた標本』として、
その恥ずかしい処を見せなければなりませんでした。

 お母さんは商売なんかしていていますからお姉ちゃんへの女と
しての躾もままならず、普段からキツイこともしていましたが、
お姉ちゃんへのお仕置きとしては、ぶったり叩いたりするより、
この方がよほど堪えると思ったのでしょうね。

 虐待?

 そりゃそうでしょうけど、それって今の基準で見ちゃいけない
と思いますよ。今と昔では親子関係の濃密さが全然違いますから。
 だって、この親子、今でもとっても仲がいいんですから……


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 5 回 ] 日曜の午後

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 5 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

     ❈❈❈❈❈   日曜の午後   ❈❈❈❈❈

 お仕置きがあった日もなかった日も我が家の日曜日の午後は、
近くのデパートと決まっていました。
 ま、近くといってもバスで15分位はかかるんですが…(^o^ゞ
そこに行って夕方まで過ごします。

 お店は日曜日も一応営業していますが場所柄もあって日曜日は
お客さんが極端に少ないですし、頼りないお父さんでも店番位は
できますから……(^o^ゞ

 今の人にはピンとこないでしょうが、昭和30年代デパートと
いうのは一大娯楽施設だったんです。今ならショッピングモール
といった処でしょうか。
 ですから、当然子供たちにとっては楽しい処でした。

 到着するやまずは大食堂で食事。もともと起きる時間も遅いの
でお昼も遅くて1時過ぎから2時が昼食時間でした。

 そこで僕たちが必ず注文するのがお子様ランチ。赤いケチャッ
プご飯に旗が立っていて、お菓子までついていて、最高のご馳走
だったんです。
 お姉ちゃんたちは気取って大人の注文するようなハンバーグや
チキンカツを注文していました。

 で、お腹が満たされると今度はお母さんにお付き合いして衣類
を買います。お姉さん二人はそんな事が楽しいのかもしれません
が、ぼくたちは退屈なので屋上や玩具売り場に避難。

 今もそういう処はあるでしょうが、当時デーパートの屋上には
子供向けの色んな遊具があって、自動車の運転ゲームをやったり
ピンホールゲームで得点を競ったりして暇つぶしには最高の場所
だったんです。

 一方、玩具売り場では今度の誕生日やクリスマスプレゼントの
物色です。今のようにあちこちから情報が入りませんから下調べ
は大切な子供の仕事だったんです。

 そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ去りました。
 普通の家庭だったらひょっとして心配するかもしれませんが、
うちはお母さんが楽天的な人ですから子供だって放し飼い状態。
お母さんが見つからないと、店内放送で呼び出してもらうという
テクも心得ていました。

 ま、いつもじゃありません。普通は適当な時間に戻って来るん
です。でも、女たちはたいていまだ買い物を楽しんでいました。
 そして、私達にもこれが似合うの似合わないのとごたくを並べ
ながらいくつか下着や服を買い求めるのです。

 その後、専門店街へ行って宝石や帽子なんかをウィドーショッ
ピング兼買い物。つまらないけど、お付き合いです。

 ぼく達はおまけです。
 ああ、でも学校の制服の仮縫いなんかは僕たちの仕事でした。
 これは本人がいないとできませんから……
(え、今はやりませんかね?当時の制服は全てオーダーでした。
指定されたお店で職人さんに頼んで作ってもらうんです。子供は
成長が早いですからね、年に二回作ることもありました)

 で、それが終わるとデパグランド(=当時は食料品の売り場が
1F。つまり地下じゃないんです)に行って夕食のおかずなんか
を買って帰ります。

 デーパートって、単に買い物だけが目的なら外商部を呼びつけ
ればいいわけで、わざわざ出向く必要もないのですが、お母さん
にとっては大事な気晴らしだったんです。
 ですから、音楽会でも美術展でも興味をひくものがあればそっ
ちへまわってました。

 そんな時はたいてい僕たちはお留守番です。もちろん、ご一緒
してもいいんですが……『だって、退屈なんだもん』(ノ_・。)

 実際、普段のお母さんは働き者でした。平日の睡眠時間って、
3、4時間じゃなかったでしょうか。私たちが厳しいお仕置きを
受けても彼女に着いて来たのは、子どもたちがみんなお母さんの
そんな姿を見ているからなんです。

 『あなたは怠け者ね( ̄O ̄)』って言われて、お父さんみたい
に『むっ、(-_-#)あなたには言われたくない』って反論できない
んですよ(*^^*ゞ

 ただ、そうやって働いて稼いだお金を貯めるという事はしない
人でした。

 『宵越しの銭は持たねえよ』

 まさに江戸っ子気質。あればあるだけ惜しげもなく使いまくっ
てましたからね、お家の経済はいつも火の車だったんです。

 あれはいつでしたかねえ。本当に財布がすっからかんになっ
てしまい、『今晩のおかずを買うお金もない』なんて緊急事態が
あったんです。

 (おうちはお金を貸すのが商売の質屋さんなのにおかしいで
しょう。(?_?)でも、本当のことなんですよ。( ̄▽ ̄;)) 

 その時、お母さんは慌てず騒がず実家に電話。
 「あっ、兄ちゃん、お金ないから持ってきて」
 信じられないほどあっさりしています。

 ところが、伯父さんのお店もその時動ける人がいなくて、アル
バイトさんみたいな人がお金を預かって50キロ離れた嫁ぎ先に
向かったんですが、途中道に迷ってしまい、結局我が家に着いた
のは、日もとっぷりと暮れた夜の8時半。

 最後は家族が家の前に代わりばんこに立ってオート三輪が到着
するのを待ってました。ちなみにその日の夕食は、「器さげる時
にお金を払うから」という店屋物ですませました。(’-’*)♪

 えっ?『わざわざ現金を持ってこなくても、銀行で振り込めば
カードですぐに出せるじゃないか?』(?_?)って…困りますねえ
読者さん。読者さん現代人ですね。これは昭和30年代のお話。
ATMなんてそんな便利なシステムまだありませんよ( ̄▽ ̄;)

 ま、それはともかく、お母さんはそんな人でした。

 さて、デーパートから帰るとチビちゃんたち(つまり僕たち)
二人は書道教室へ。それが終わると自宅に戻ってピアノの練習。
さらにそれも終わると、次の日の予習と復習をお母さんと一緒に
こなします。

 ええ、日曜日といっても夜は忙しいんですよ。
 日曜日だけじゃありません。一週間のうちにはに五つも六つも
色んな習い事を抱えてました。

 こう書くと、さも『よい子ちゃんしてた』みたいに見えます
が、本当は二人ともイヤイヤやってたんです。(>_<) (x_x)
 二人ともまだ幼かったのでお母さんが「やりなさい」と言えば
拒否できませんでした。

 僕たちがそんな不満をお父さんに愚痴ると……
 「そうか、お前たちは寄る辺なき身の上だもんなあ」
 と言ってくれたんです。

 その言葉自体は強く印象に残りましたが、何しろこのおじさん、
家の中では僕たちと同じ弱い立場の人ですからね、何もしてくれ
ませんでした。(^◇^;)

 我が家はお母さんの絶対君主制だったんです。

 特にお母さんの家庭教師役は強烈で、二人を居間のちゃぶ台に
座らせると山と積まれた問題集の中から自分で選りすぐった問題
を次から次へと出していきます。

 通常二時間くらいなんですが、僕たちが勉強している間は常に
息がかかるほど近くに居て、お店にお客さんが来てもよほどの事
がない限り出て行きませんでした。

 わき見ダメ、あくびダメ、ため息ダメというなか、何度も同じ
系統の問題を間違えると、ほっぺたは抓られるし、手の甲は抓ら
れるし、頭ははたかれるしで、この2時間は10秒たりとも気を
抜く暇がありませんでした。

 いえ、それだけならまだいいんですが……
 『こいつら、だらけてる』
 と判断した場合はもっと悲惨なことになります。

 いきなり強烈な力で腕をねじ上げられると、そのまま引きずら
れるようにお風呂場へ直行。
 服のまま、風呂桶の残り湯を何杯も頭からぶっかけられます。

 「目がさめたかしら」(ー。ー;
 って……

 『始めから覚めてるよ。それより寒いよ』(゜Д゜≡゜Д゜)

 今なら完全に児童虐待。でも、お母さんはまったく平気。
 もの凄く怖い顔で僕を睨んでる。(-_-#)

 それは、怖くて、辛くて、悲しい儀式なんだけど……
 そもそもお母さんは悪いことしたなんて思ってないんだ。

 お母さんは濡れた服を脱がせて、裸ん坊さんの身体を拭いて、
また新たな服(たいていパジャマ)を着せてからこう言うんだ。

 「時間がないの。急ぐわよ」(ー。ー;

 『時間がないならこんなことするな!』
 という発言は封印して、僕はお母さんに抱っこされる。

 抱っこされたまま居間に行くと、そのままお母さんのお膝の上
でお勉強が再開。

 「ほら、次はこれやって」
 目の前に新たな問題が現れるんだけど、これってさっきまでと
違って目の前の問題しか見えないんだ。

 『あのうねえ、この姿勢だとね、お母さんのおっぱいと大きな
腕が邪魔してミイちゃんの様子が見えないんだけど……』
 などと思いつつ問題に取り掛かる。

 そのうち……
 『ま、仕方がないか』
 と諦める。

 できたら、頭よしよしだけが励みだ。

 こんな感じかなあ。僕たちの勉強風景。

 もちろんお風呂場へ連れて行かれるのはぼくだけじゃないよ。
 ミイちゃんのこともあるし…両方いっぺんに…ってことだって
あるんだ。

 そして、そのうちぼく達『おねむ』が強くなって本当にネンネ
するんだ。

 もちろんお母さんがおしまいって言うこともあるけど……
 問題を解いてる最中にそのまま寝てしまうこともある。

 お母さんは不満そうだけど、そのうち……
 『ま、仕方がないか』
 と諦める。

 そして、僕たちを抱っこしてお布団の中へ入れてくれるんだ。
 いつも三人一緒のお布団でネンネ。

 これは僕も思ってるしミイちゃんも思ってるけど、ミイちゃん
がお母さんに抱っこされてお布団に運ばれていくのを見ていると…
 『僕は何で起きてるんだろう?損したなあ』
 って思うんだ。

 ぼく達は大人たちの間では仲のよい兄弟だってことになってる
けど、お母さんの愛をめぐってはライバル同士なんだもん。

 『今日も一日幸せでした。明日も幸せな一日でありますように』
 お母さんのつぶやきは半分夢の中で聞きながらぼく達はネンネ
するんだよ。

 『明日も幸せな一日でありますように』


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 1 回 ] 朝の通学

              [ 第 1 回 ]

      ****** 朝の通学 ******

 僕が通っているのは私立の小学校。東京のような大都会には沢山
あるだろうから、そんなこともないんだろうけど、僕の育った田舎
では私立の小学校なんて県下にたった二つしかない。
 おかげでそれなりの苦労もあったんだ。

 ほとんどの子が早起きしないですむ近くの公立小学校に通う中、
特徴のある制服を着せられてバスや電車に乗るだろう。周囲の人達
が物珍しそうに僕を見るのが嫌だったんだ。

 お母さん言わせるとね、「本当は別の学校にいれてやる予定でい
たんだけど、園長先生が直々に我が家にお見えになり、どうしても
とおっしゃるから断りきれなかった」んだそうだ。

 それに「二人とも身体が弱くておとなしい性格だから幼いうちは
そんなに競争の激しくない処の方が……」と思い直して入学させた
んだって。
 
 その代わり、授業料は二人分免除してもらってたんだ。(*^^)v

 この学校はね、遠いの。
 まずは、お家近くのバス停から40分かけて大きな町のバスター
ミナルまで行って、そこからポンコツスクールバス(最初の頃はボ
ンネットバスだったなあ)に乗って15分位行った処にあったんだ。
 すごい山の中だよ。ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ

 この山はもともと修道院のもので、そこに付属して創られた学校
だったんだ。こじんまりした学校でね、グランドはテニスコートく
らいしかないんだ。
 一クラス12、3人で一学年二クラス。全校生徒あわせても15
0人もいなかったんじゃないかな。

 でもね、そのくせ先生は一クラスに二人もいたんだ。
 これを言うとよその子たちはたいていみんな驚くよ。
\(◎o◎)/!
 だって、たいていの小学校は先生といえばクラス担任一人だけだ
からね。

 うちの場合は正規の先生が授業をしている傍らでシスターでかつ
教員免許を持っているという先生が教室を回って分からないところ
を教えてくれるんだ。

 このシスター先生は面倒見がよくて……というか、よすぎてかな、
おいたが過ぎたり、勉強が遅れがちになると日曜日なのに学校へ出
て来なさいって言うんだ。

 おいたの治らない子にはお説教、勉強の遅れている子には補習が
待ってるの。

 「ありがたいことじゃない」なんてお母さんは気軽に言うけど…
(*^_^*)
 日曜日を潰されたこちらは別にありがたくなんかないよ。(-_-#)

 「あ~あ、イヤだなあ。先生ってそんなに暇なのかなあ」
 なんてぶつくさ言いながら日曜日のバスで愚痴ってた。(^◇^)

 日曜日に開く学校のおせっかいはそれだけじゃなくて、教師さん
や先生方、父兄も総がかりで困ったちゃんをお仕置きするイベント
まであったんだ。…>_<…

 『このところ成績が落ちた』『いくらお仕置きしても悪い素行が
治らない』なんて生徒は日曜日に親と一緒に呼ばれてレクチャーを
受けるんだけど、それが高じてお仕置きもやりましょうということ
になったみたいなんだ。

 いずれにしても残酷な話さ。いたいけな少女(少年)を大人たち
がよってたかって修道院で折檻するんだよ。

 僕も、ぶったり叩いたりじゃないんだけど、シスター先生から親
子してたっぷり油を絞られたことが何度かあった。
 中には『家に帰ってからこういうお仕置きをして欲しい』なんて、
はっきり言う先生もいたくらいなんだ。

 凄いだろう。昔の先生って……真実なのよ∈^0^∋

 今の人たちからするときっと信じられないだろうね。担任の先生
がお父さんやお母さんに向かってお子さんをお仕置きしてください
だなんて。(@_@;)
 ありえないよね。(^_^;)

 でも、当時はそのくらい子供へのお仕置きは当たり前だったし、
先生もどんなお仕置きが最も効果的かを真剣に考えた末の提案だっ
たんだ。

 もちろん、当時だってお上から『体罰はダメ』っていうお達しは
届いてたと思うよ。だけど、現場は適当に無視してたみたいだね。

 なぜって……体罰に消極的な先生より少しぐらい怖い先生の方が
父兄からは人気があったもの。『体罰反対』だなんて声はそれほど
大きくならなかったんだ。

 三愛学園は幼稚園から短大まである大きな組織だったけど、その
いずれでも『愛あるお仕置き』が教育のコンセプトだったんだ。

 わっ、また脇道に脱線してしまった。(^_^;)
 では、順を追ってまたお話し、し直します。m(*^▽^*)m

 僕とみいちゃんはまず路線バスの営業所へ行く。当時はそこから
200mほど離れたところにあるバス停が起終点だから、本来なら
そこで待ってなきゃいけないんだけど、『そこは吹きさらしで寒い
から』ってお母さんがこの営業所の人たちに頼み込んで冬の間だけ
ここから乗せてもらうことにしてたんだ。

 本当はいけないんだよ、そんなこと。バス停以外で乗客を乗せち
ゃあいけないことになってるから。でも、これも体罰同様、当時は
鷹揚だったみたいだね。

 その冬場だけの約束が、そのまま夏になっても居ついちゃって、
二人はいつしかこの営業所のアイドルみたいになってたんだ。

 僕が先に顔をだすと「ほらほら、本当はここから乗れないんだぞ」
なんて意地悪を言うくせに、みいちゃんが先に顔を出すと「おう、
チビたちきたか」なんて言ってみいちゃんだけ天井に頭をぶつける
くらい高い高いをするんだ。

 みいちゃんは僕より可愛かったからね、よく運転手さんや車掌さ
んに抱いてもらってたよ。
 やっぱり子供は可愛いほうが得です。(`ε´)

 営業所の中はストーブ(当時はダルマストーブ)が炊かれていて
暖かかったけど、ものの数分でバスが出ちゃうからそこに長居した
ことはないんだ。

 『だったら、バス停で待っていてもいいじゃん』
 なんて言わないでよ。
 実はここに来るともう一つの役得があるんだ。
 
 というのはここで乗ると確実に一番前の席が取れる。
 これが僕たちには何より嬉しかったんだ。
 
 一番前の席。
 今のバスの一番前はお客さんが乗降する為の扉になってるだろ
う。だけど、僕とみいちゃんがまだ幼かった頃はそもそもバスにも
車掌さんが乗っててね、その人が車内でキップを売ったり、踏切で
はバスの誘導なんかをして、バスの運行を補助してたんだ。

 つまり、今みたいに運転手さんが運賃の徴収なんかしないからね、
一番前に扉なんかいらなかったんだよ。

 ドアは真ん中付近に一箇所だけ。その扉の処に車掌さんがで~ん
と構えてた。ちなみにドアの開け閉めは手動。今は大半電光掲示に
なってる方向指示幕だって車掌さんや運転手さんが手でハンドルを
回して変えてた時代なんだ。

 僕はこのお手伝いが好きでね、帰りの営業所ではよくやってた。
 えっ、そんなのいけないことじゃないのか?って……
 いいじゃないか、幼児のささやかな楽しみなんだから……
 そんなこと言い出すから現代人は嫌いだよ。(`ε´)

 それはともかく、当時一番前にドアがあるのは路線バスじゃなく
て観光バスと相場がきまってたんだ。

 で、その一番前なんだけどね、二人がけのシートになってること
が多くて、そこに二人並んで座りたいから最初の最初にバスに乗れ
る営業所へ二人して通ってたんだ。

 だって、そこから見えるパノラマは運転手さんが見ている景色と
同じだろう。最高さあ。\(^O^)/\(^O^)/

 一日の始まりはこうでなくちゃ。(;⌒▽⌒)σ σ(⌒▽⌒;)

 後ろでちょこんと座って時間を潰してる子の気が知れなかった
よ。
 『こいつ何が楽しくてバスで通ってるんだろう』(ー_ー;
 って思ってたね。

 で、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ去って、僕達は電車
の駅に隣接する大きなバスターミナルへとやってくる。

 ここには電車を使ってくる子や他のバス路線から来る子なんかが
大勢いてね、みんなここで落ち合うんだ。

 まず、バスを降りるとシスター天野がバス扉の前で待ってる。

 このおばあさん、いつも僕たちを乗せてきたバスの車掌さんたち
に「ありがとうございました」って言うんだ。
 そして、僕たちをバスセンターの隅の隅、奥の奥にある学校行き
のバスが出る乗り場へとお手手繋いで連れて行くのがお仕事なんだ
よね。

 「ねえ、僕たちもう赤ちゃんじゃないし、毎日のことだから案内
なんかしてくれなくてもいいよ」
 ってよく言うんだけど、必ず僕たちの手を引いてスクールバスの
出る場所まで連れて行くんだ。

 『迷子になったら困るでしょって…それより恥ずかしいんだけど』
(。・_・。)ノ(*^-^*)

 で、ポンコツバスに乗ると、今度は二人目先生、若い高宮先生が
車内で待っててすぐに点呼表にチェック。そうやってみんなが予定
通りに乗り込めば出発となるんだ。

 このバスの中は見慣れたお友達と一緒だからね。いつもふざけあ
ってて、先生からはいつも「静かにしなさい!」って怒られてた。

 あっ、これってどうでもいいことだけど、学校近くにも停留所が
あったから、そこまで路線バスで来る子やおうちの人に自家用車で
送ってもらう子もいて、全員がこのスクールバスを利用してたわけ
じゃないんだ。

 さてと……学校へ着くと、当然、みんなバスを降りるんだけど、
降りたらまずしなくちゃいけないことがあるの。

 校舎の入り口に設置してある大石胤子先生の胸像に、「おはよう
ございます」って大きな声でご挨拶。
 一回ペコンって頭を下げてから校舎に入らないといけないんだ。

 大石胤子って誰?(・。・)

 はははは(^∇^;)知らないのも無理ないか。
 僕たちの学校を創った人。つまり創立者のおばちゃんだよ。

 一度も会ったことのない人になんで挨拶しなきゃいけないのか、
さっぱりわからないけど、この儀式はとっても大事で、どんなに急
いでいても登下校の際は必ず頭ペコンをしなきゃいけないんだ。

 もし、忘れて通り過ぎたところを先生に見られたりすると……。
 (ー_ー;

『お仕置き』(;-_-;)

 嘘みたいだろう、たかだかそんな事で?って思うだろう。
 でも、本当なんだ。

 うちは仲良し子よしの集まりだから小学校なのに幼稚園みたいだ
なんて言われるけど、ある意味躾には厳しくて、ご挨拶なんかも、
意地はってやらなければ先生方もやるまで絶対に妥協しないんだ。

 しかもそうこうしているうちにお仕置きだけは追加されていく訳
だから、どんな馬鹿な子だって先生には逆らえないって悟ることに
なるんだよ。

 胤子先生の像に一礼するのも本当は訳なんてないんだろうけど、
『先生がやりなさいって言えば必ずやらなきゃいけないんだ』って
ことを分からせるためにやってるんだよ、きっと。

 うちにはそんなどうでもいいような決まりごとがたくさんあって
困りものだけど、低学年のこの頃は先生の言う事は何でもはいはい
って聞いてたからノープロブレムだったです。(^_^)b

 本当かなあ( -_・)?

 ま、それはともかく、校舎に入ると日本式の下駄箱が並んでて、
そこで上履きに履き替える。
 ま、これ自体はごく自然なんだけど、ここには他の学校ならまず
いないような人が待っているの。

 誰だと思う?

 ははは(^◇^;)園長先生。

 どうしてこんな処に園長先生なのかは謎だけど、うちの園長先生
というのは園長室にいつもで~んと腰を下ろしてなくて、一日中、
園内どこかを見まわってる腰の軽い人なんだ。
 下駄箱付近では主に入学間もない1年生に声を掛けているね。

 もち、笑顔。(*^_^*)

 上級生は、今さらって感じだから…「おはようございます」って
お義理に言うだけでパス。∈^0^∋

 でも凄い観察力でね。あんなに沢山の子がいっぺんにそこを通る
のに、服装が乱れてる子やご飯粒をほっぺにつけてる子なんかは、
即、呼び止められるんだ。

 万が一にも泣いてたりなんかしたら、大変なんだよ。
 (ノ_・。)……ヽ(∇⌒*)
 「どうしたの?……おなかが痛いの?」
 「お母さんに叱られた?」
 「お友達に嫌な事言われた?」
 なんてのから始まって根掘り葉掘り聞かれるよ。

 でも、誰だって大人には話したくない事だってあるだろう。
 特に女の子なんて、たとえ友達に虐められててもそれを先生の処
へは持ち込みたくないもの。

 だから作り笑いなんかしてその場を切り抜けようとするんだけど
……(^∇^;)

 「お待ちなさい」(ー。ー;
 鋭い目が光るね。それまでの恵比寿様みたいな笑顔が嘘みたいに
怖い顔になるんだ。

 『子供のお芝居に騙されるほど私はもうろくもしてないよ』
 って感じだね。

 で、どうなるかっていうと……
 園長室に連れ込まれて洗いざらい白状させられる。
(゜Д゜≡゜Д゜)
 白状しなければお仕置きされる。お浣腸やお灸だって園長先生の
バックにはあるんだもん、そりゃあ怖いよ。
(`Д´≡`Д´)??

 女の子が教えてくれたけど、詰問というよりまるで拷問って感じ
なんだってさ……

 「だって、私は虐められてる方なのよ。どうしてこんなことされ
なきゃいけないのよ」
 って、とうとう自分で白状しちゃったんだって……

 もちろん、これで終わりじゃないよ。
 今度は虐めた側の子が呼ばれて仲直りさせられるんだけど、この
やり方がこれまた凄いんだ。
 世間の常識はここでは通用しませんよって感じなんだ。

 虐めてた方、虐められて側、どちらの子も相手にお浣腸をかけて、
オムツをはめさせて、お漏らししたうんちを処理させるんだ。

 (○_○)そ、そんなことしたら余計に相手が嫌いになって逆効果
じゃないか?

 僕もそう思うけど、先生たちはこれでいいって言うんだ。
 実際、僕も相手は男の子だけど一度経験があるよ。(・。・;)

 ん!…で?…どうだったの?(;¬_¬) (@_@;)

 そりゃあ、その時は死ぬほどイヤだったけど、その後は不思議と
その子と折り合いがついたんだ。
 特別好きになったとかじゃないんだけど相手の子の存在を認めら
れるというか許せるようになったんだなあ。
 これって相手も同じだったと思うよ。

 同じ釜の飯ならぬ同じオムツのうんちってわけなんだ。(^_^;

 うちはとにかく仲良しにだけはこだわるからね、喧嘩はもちろん、
悪口、陰口、嫌がらせ、もちろん無視ってのもダメなんだ。とにか
く相手が嫌がる何をやっても相手に奉仕する罰が与えられるから
ね、どの道仲良くするしかないんだよ。

 お浣腸は極端でもそのお友達の為に毎日花を飾ってあげるとか、
給食用のコースターに刺繍をしてあげるとか、宿題教えてあげると
かね……その時の程度に応じて色んなことをさせられるんだ。

 で、相手もそれに対する心からのお礼の手紙を書かされるんだ。

 最初は、お仕置きだし、お互い仕方なくやってるんだけど、そう
やってお付き合いが始まると、たとえ相手が好きにはならなくても
その存在が疎ましくはなくなるんだ。

 ん?(;¬_¬)
 それにしてもお友だちのオムツ換えなんて……って、言いたいん
だろう。

 でもね、園長先生曰く……
 「人間のやることに汚いなんて事はありません」
 なんだってさ。

**********バイ、バイ、(^ー^)ノ**********

[ 第 2 回 ] 小テストと懺悔室

             [ 第 2 回 ]

******** 小テストと懺悔室 ********

 朝一番のお仕事はお掃除。うちでは朝登校した時と夕方下校する
前の二回もお掃除の時間があるんだ。
 他の学校は一回だけって聞いた時は正直羨ましかったよ。

 で、それが終わると今度はテスト。
 漢字の書き取りと算数の計算問題が二十問ずつ出るんだ。

 元々やったところだし出題範囲も先生が教えてくれるから普通に
勉強していれば問題ないんだけど、人生色々あるじゃないですか。

 どうしても見たいテレビがあったとか、明日、ピアノのレッスン
があるのにまだ満足に弾けてないとかね。

 そんな時はたまに合格点までいかない事もあるけど、たいていは
放課後残されてその分やって帰ればいいだけ。そのくらいではね、
天下のお仕置き小学校(?)、三愛学園じゃお仕置きのうちに入ら
ないんだ。
 
 などと言いつつ、実際には泣いちゃったこともあるけどね。
 (ノ_・。)

 ただ、その次の日も、さらにその次の日もってなっちゃうと……
『僕、し~らない((^。^;)ノ』ってことになっちゃう。

 もちろん全てがお仕置きに直結してる訳じゃないけど、そんな子
が許してもらえる可能性はもの凄く低くなるんだ。

 土曜の午後か日曜に親同伴で呼びつけられて、悲鳴が上がるよう
なお仕置きされてたなんて話、毎月のように誰かから聞かされてた
気がするもの。

 怠け者にはお仕置き。昔は方程式が単純だったんだ。

 もちろん、これで終わりじゃないよ。三愛では、まずお仕置きが
あって、それから、それからなんだよね。事情を聞いてくれるのは
……

 うちでは、まず罰(お仕置き)が先なの。…>_<…

 園長先生の前に引き出された時だって、僕が必死に弁明してたら
(^△^;)
 先生、急に笑いだしちゃって……(⌒-⌒;)

 「あなたみたいな子がいるからお仕置きが先でなきゃいけないの
よ」って言われてしまいました。

 「最初に事情を聞くとね、罰を免れようとしてあることないこと
まくし立てる子がいるの。そして自分のついた嘘がいつしか心の中
で本当の事になっちゃって、やっかいなことになるのよ……」

 「それに罰があるとわかっていればぎりぎり迄努力しようとする
でしょう。それも大事なことだわ。…何より最初のお仕置きが全て
じゃないの。後からもっと厳しくもできるし事情を聞いてフォロー
してあげることもできるでしょう」

 これが園長先生の言い分なんです。

 「あなたには六回の愛を与えます。しっかりお馬さんにつかまっ
てなさい」

 先生は問答無用って感じで宣言するとお尻叩き専用の拘束台に僕
を乗せて半ズボンだけじゃなくパンツまで脱がしちゃうんだ。
 きゃ(/\)

 うちの学校は大人たちが簡単に子供のパンツを脱がすの。
 きっと、修道院のおばちゃんたちストレスが溜まってるんだね。

 園長先生はたっぷりのアルコールを染み込ませた脱脂綿を使って
準備が整った恥ずかしいお尻の山を丹念に拭き清めます。
 きゃ(/\)

 これも三愛のしきたり。表向きは消毒ってことらしいけど、子供
って体温は大人より高いからすうすう感も強くて脅かしには効果的
なんだ。

 「さあ、行きますよ」
 トォーズと呼ばれる平たい革紐鞭が最初は小さく弱く二三回僕の
お尻を叩いているけど、そのうち大きく弧を描いて振り下ろされま
す。

「(ひぃ~~)」

 もちろん、これって文部省さんだって想定していないような露骨
な体罰。でも、お父さんやお母さんに学校でこんな事されたって泣
きついても何もしてくれないんです。

「だって、それは入学前からのお約束だもの。そもそも、あなたが
悪いんでしょうが……」
 なんて言われてチョン……相手にしてもらえないんだ。(-_-#)

 「僕、入学前にそんなこと訊いてないぞ~~」
 なんて言っても後の祭りなんだよ。(`ε´) 

「(ひぃ~~)」

始めから痛いのは分かっていたから歯を食いしばって頑張ったけど

「ひぃ」

 今度はちょこっと声が出た。本当はぶたれているお尻を擦りたい
けど必死に我慢したんだ。
 そんなことして鞭の数が増えたらえらい事だからね。

「い~~~~」

 三回目は本当に痛くて声もでない。ほんのちょっぴりだけど、お
しっこも漏らした。つまり、やっとの思いで耐えたんだ。(>_<)

 三愛の先生たちって、この子がどの程度だったら声を出さずに
耐えられるか、大暴れしないか、ちゃんと加減が分かっていて、
そのぎりぎりでぶってくるの。

 それだけじゃないよ。
 『こいつ、今ぶたれてる事とは別のことで悩んでるな』
 なんてことまで分かっちゃうんだ。
 もの凄い職人技の持ち主なんだから。(>_<)

 僕も二年生になって、入学した頃から比べると随分楽になったと
いうか、お仕置きに慣れたんだね、きっと……
 入学したての頃は、とにかく大男というか大女たちに捕まっての
お仕置きだろう。恐怖のあまりやられる前から本格的にお漏らし
したことだってあるんだ。

 「ひぃ~~痛い」

 「だめえ~~ごめんなさい」

 「いやあ、いやあ、いやあ」

 本当は何言ったのか覚えてないけど、どうせこんなことだろうと
思うんだ。最初はあまりの事に怖くて泣き叫んじゃった。
 本当は黙ってお鞭は受けないといけないんだけど一年生だから
ね、声を出すなって言っても無理なんだ。

 『お尻から血が出たか?』

 ははは(^◇^;)そもそもそんなに強くぶたないもん。お尻がほんの
ちょっと赤くなるだけ。幼い子のお仕置きって上級生のような苦痛
や辱めより脅かしがメインなんだって、『いつも優しい先生が怖い』
って感じてくれれば、それでお仕置きは成功なんだって……
 小田切先生が言ってたよ。(*^_^*)

 だけど低学年の子なんて赤ちゃんと同じようなものだから堪え性
がまったくないだろう、ちょっとしたお仕置きでも最初の頃は大仰
に騒いじゃうんだ。

 もちろん、園長先生はそんなこと百も承知だからお鞭の最中に泣
き喚いても上級生のように責めたりはしないよ。
 この時も……

 「よし、よし、おしまいにしましょう。よくがんばったわね」

 途中で切り上げて、以後は園長先生のお膝で抱っこ。

 「さてさて、今はどんな風にお勉強してるのかしら?おうちでは、
言われた通りにちゃんとお勉強してるのかしら?」

 園長先生はお仕置きが終わると、必ず僕の頭を撫で撫でして、
こんな風に尋ねるんだ。他の先生のときもそうだけど、三愛では
お仕置きの後は必ず抱っこ。これがお決まりなんだ。

 で、僕が……
 「ピアノの発表会が来週の日曜日にあって今は忙しいんだ」って
言うと……

 「そう、だったら来週からは頑張りましょうね」
って、そう言って開放してくれたんだ。

 『ラッキー(*^^)v』
 ってなもんだけど、発表会の翌週は覚えなきゃいけないことが倍
になってひ~ひ~言う羽目になった。(>_<)
 ただ、それからのお仕置きはなかったよ。

 うちの場合、お仕置きとしてはこれでも軽い方なんだよ。ピアノ
練習をやらなきゃならないっていう大義名分があったからね。

 でも、差別もあったんだよね。

 僕たちの中にマンガ家を目指してる子(もちろん子供の夢だけ
ど)がいて、本当は『マンガを描くのに忙しくてお勉強の時間が
とれませんでした』って言いたいんだけど、そんなこと言っても
許されなかったんだ。

 当時の常識としては、ピアノはよくてマンガはダメなんだ。
 どっちも好きでやってるだけ、つまるところ同じ趣味なのにさあ、
おかしいでしょう。
ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ?

 今でこそ、「マンガ家になりたい」なんて言っても親は驚かない
だろうけど、当時はマンガってとっても低く見られてたからね。
 お母さんに言わせると、「低俗」で「猥雑」で「下品」で「幼稚」
なんだって……僕はとっても面白いと思って友だちから借りて読ん
でたけどね。

 うちの場合は、自分のお小遣いで買ってもお母さんに見つかると
取上げられちゃうからね、家の中には置いとけないんだ。

 そんなわけで……
 『マンガ描いてて勉強時間がなくなりましたあ』((^。^;)ノ
なんて明るく言うのは絶対にNGなんだ。

 つまりそんな子は……『サボってた』『怠けてた』とみなされて
お仕置きされることになるんだ。

 親も先生もこれは同じ意見だよ。マンガ描いてるのは遊んでるの
と同じ、無駄な事してるのと同じだもん。

 だから、そんなことしてた子の運命は悲惨なんだ。
 前にも言ったけど、土曜日や日曜日の午後に親と一緒に呼び出さ
れて、まずは担任の先生からお説教。(-_-#)

 それで済めばいいけど……
 くどくどとしたお説教にじれてしまって……
 「わかったからもういいでしょう」(-_-#)
 なんて、思わず口走ってしまうと……(実際、そう言いたくなる
ほどくどいんだ)

 「先生、もう少しはっきりとした形でこの子に分からせたほうが
良いのかもしれませんね」

 なんてね、それまで部屋の隅で何があってもニコニコ顔でお話を
聞いていた園長先生が腰を上げたら僕たちは大ピンチなんだよ。
キタ━━━━(゚◇゚ )━━━━大魔神!!!!

 「由美子(仮名)ちゃん。向こうのお部屋でこれまでのことをマ
リア様に懺悔しましょうか」
 園長先生が背筋の凍るようなことを言い出すんだ。

 何?これだけ聞いてるとたいしたことじゃないように聞こえる?
要するに懺悔すりゃあいいんだろう?って……

 ははははは(^◇^;)……甘いね(ー_ー;
 それはね、あの部屋に入ったことがないからだよ。

 園長先生の言う向こうの部屋というのは懺悔の為だけに作られた
特別なお部屋のことで、小学生の頃はそこに入るだけでもとっても
怖かったんだ。

 四畳半くらいの小部屋なんだけどね、窓はないし、照明も電気は
なくて蝋燭だけ。
 ゆらゆらと揺れる炎に照らされて、先生方の顔やマリア様の像が
浮かび上がると、もうお化け屋敷状態だもん。低学年の子なんか、
それだけで泣き出しちゃうんだ。

 しかも、そこでは服を脱いで裸になって懺悔しなきゃならない。
男の子も女の子もみんなすっぽんぽんで懺悔するんだ\(^O^)/

 入口は映画館並みの厚い扉で仕切られてるから防音はばっちり。
部屋の中も当時としては珍しく空調がきいてるから快適……

 と、ここまでは問題ないんだけどね。この懺悔のいやらしい処は
まず一回じゃ終わらないってことなんだ。(-_-#)

 「マリア様、私はお家でのお勉強時間にマンガを描いていました。
ごめんなさい。次に過(あやま)ちを犯した時はどんなお仕置きも
受けますから、どうか今回だけはお許しください」

 ま、こんな感じかな……
 たいてい先生が考えたこんな文章を暗記させられて、先生たちや
お父さんお母さん、とにかくその部屋にいる大人たち一人ひとりの
前で膝まづいて懺悔しなきゃいけないんだ。

 最後はマリア様の前でも懺悔する決まりなんだけど…、そこまで
いきつくのが大変なんだ。

 この懺悔は膝まづいて両手を胸の前に組むだけじゃ足りなくて、
一回一回服を脱いで素っ裸にならなきゃいけないんだ。

 一回一回って、ダメだった時にまた服を着るの??どうして??
裸のままじゃいけないんだ。(?_?)エ?

 いけないの。(-。-;)

 どうして??(?_?)エ?

 よく知らないけど、園長先生の説明では『私に隠し事やまやかし
はありません』ってマリア様に伝えるためには服を脱ぐところから
始めなきゃいけないんだってさ。
 とにかく、うちはそういう細かいしきたりにうるさいんだよ。
(-_-#)

 おまけに、やれ「声が小さかった」とか「早口で分からない」と
か「泣きながらじゃだめ」とかね……色んな理由でダメだしされて
五六回はやり直しさせられるんだ。

 すると、もう一度服を着て、最初からだもん。辛いんだよ、コレ。
(;゜∇゜)ぇまた?

 子供だからね、しまいにふて腐れることだってあるだろう`ε´)
 でも、そうすると、十回でも二十回でもやり直しさせられるんだ。
 とにかく完璧にできるまでは一時間でも二時間でも妥協しないで
やらされるんだ。

 僕も一度ヒステリー起こしちゃって、二時間も出てこれなかった
ことがあったもん。

 最後は意識朦朧としてて、自分で何やってるのかわからなかった
くらいだけど、それでも終わると園長先生は僕を抱き上げて……

 「よく頑張ったわね、あなたの気持はマリア様に伝わったわよ」
 っておっしゃったんだ。

 この時は嬉しくてね、おばあちゃんがマリア様に見えたよ(^^ゞ

 これが僕たちのお仕置き基本形。

 規則や約束を破れば必ずお仕置き。そのあと事情を聞いてくれて
最終的な罰が決まるんだけど、最後は、必ずお膝に抱っこされて、
頭をなでなで、ほっぺすりすり、あんよやお手々をもみもみされて
大人たちの体臭をたっぷり嗅がされてから開放されるんだ。(+_+)

 上級生になると、さすがに『僕、もう赤ちゃんじゃないんだぞ!』
って主張した時もあるんだけど……

 「何言ってるの。あなたはまだお父様お母様の赤ちゃん。ここで
は先生の赤ちゃんでもあるのよ。こんな可愛いオチンチンしてて、
大人になったとでも思ったの」

 と訳の分からないことを言われてチョン。(あ、チョンって議論
打ち切りって事だよ)要するにぼく達は六年生でも赤ちゃんなんだ。
(∩.∩)

 それに、そのお膝の上ではちゃんと笑顔を作って見せないと…

 「あら、あら、おかしいわね。まだ反省が足りないのかしら?」

 なんて言われて、お仕置きのやり直しになっちゃうんだ。
 いやはや、お子ちゃまは辛いよ。(ノ_・。)


**********バイ、バイ、(^ー^)ノ*********

超狭軌道 <小>
*)この写真は記事とは関係ありません。

[ 第 3 回 ] 落第点のお仕置き

          [ 第 3 回 ]

 ****** 落第点のお仕置き ******


 え~~っと、何、話してたっけ(゜〇゜;)???

 そうそう、朝の小テストだった。(^^ゞ

 その小テストが終わると、ホームルーム。
 担任の小田切先生は、何とこの小学校に入学した時から卒業する
六年生までずっと変わらなかった。
 
だから先生は、クラスの子一人ひとりの性格や成績はもちろん、
お父さんお母さん、従兄弟やはとこ、伯父さんや叔母さんの事まで
ぜ~~~んぶ知ってるんだ。

 そうそう、第2回で言った懺悔だけじゃなく、ぼく達は何かにつ
けてよく裸にされるからね、先生は僕たちのオチンチンの形や普段
他人には見せない処にある痣なんかまでも、ぜ~~~んぶ知ってる
んだよ。きゃ(/\)

 男の先生だけどね、若いし、結構イケメンだから僕たち男子だけ
じゃなく、女の子たちもみんなみんな大好きなんだ。だから何かと
いうと先生に抱いてもらおうとしてそばによって来るんだ。
 ヽ(*゚∀゚)ノ ヽ(∇ ̄ヽ)三(ノ ̄∇)ノ ☆ヽ(∇⌒*)♪

 五年生六年生になっても先生のお膝に乗って遊ぶ子が沢山いたん
だから。

 その小田切先生は国語と社会の先生だからホームルームの他は
国語と社会の時間にだけ教室にやってくる。他の時間は別のクラス
で授業しているんだ。
 三愛では教科こどに担当の先生がいるし、音楽、図工、家庭科、
体育は子供達の方がその教室へ出かけていって授業を受けるんだ。

 要するに、小学校でありながら一般的な中学校と同じシステム。
 同じなのはそれだけじゃないよ。単元ごとのテストの他に、中間
テストや期末テストなんてのまでがあるんだ。

 おまけに、この中間や期末のテストで合格点まで達しないと……
 やっぱりお仕置き。…>_<…

 とはいえ、さすがに小学一年生からそんなに厳しくしたら性格が
歪んじゃうからね、いきなり手荒なまねはしない。学年が上がるた
びに徐々に厳しくしていくんだ。

 一年生はね、成績に関係なく全員が二年生のお仕置きを見るだけ
でいいんだ。

 で、その二年生は後輩の一年生に見られながらさっき話しただろ
う裸になっての懺悔、あれをやらされるってわけ。

 その二年生はさらに三年生のお仕置きを見学して……
 三年生になると、お馬に乗せられてベルト(トォーズって呼ぶら
しい)で3回から12回くらいむき出しにされたお尻を叩かれる。

 もちろん手加減はするよ。(^_^;)でなきゃ死んじゃうもん。
 僕も三年生の時に中間テストが赤点でお尻丸出しの鞭をもらった
けど、それはそんなに痛くなかったのを覚えてる。6回の罰を受け
たけど必死に我慢して何とか悲鳴をあげずにすんだもん。(^-^)

 ただ、この頃からは何かあるたびに鞭が出てきて本格的なお仕置
きになっていくんだ。
 
で、三年生は四年生のお仕置きの見学と……_〆(・・ )
 その四年生は鞭だけじゃなくお浣腸もやらされるんだ。
 素っ裸で椅子の肘掛を両手で掴みながら床に膝まづいてウンコを
我慢する。

 凄い格好。( ̄O ̄;
 そりゃあ恥ずかしいんだから……

 もう、わかってると思うけど、その四年生は一級上の五年生の子
のお仕置きを見学するんだ。
 五年生になると鞭やお浣腸に加えてお灸まであるからね。
 地獄です。(-_-#)

 『生徒にお灸なんかすえて、よくお父さんやお母さんが黙ってな
いね?』って……

 ははははヽ(^_^;))
 それ逆だよ。お父さんやお母さんは厳しい体罰が我が子のために
なると信じてこの学校に入れるんだ。
 そもそも入学の条件にお仕置きの内容が事細かに書いてあって、
それに同意しないとここへの入学が許可にならないんだ。

 お灸もすえる場所は決まってるから三愛のOG同士よく見せっこ
するんだってさ……その火傷の痕が一部ハイソの世界では一種のス
テータスになってるって噂を聞いたことがあるよ。

 『それじゃあ、最上級生の六年生は?』

 これら三つのお仕置きを一級下の子だけじゃなく全校生徒の前で
やらされるんだ。

 六年生といえばすでに思春期に首を突っ込んでるだろう。身体だ
って変化してるし……だから女の子なんか必死だよ。だってそんな
ことされたらそれこそ超地獄絵図だもん。
(-_-#)(+_+)

 だけど、あんまり六年生がお仕置きされてるのを見たことないん
だよね。

 誰だって生き恥をさらしたくないからね。みんな必死で頑張るん
だろう。先生も応援してくれるから赤点の子は滅多にでない。
 おかげでどの子も成績がグ~ンとアップするって、先生笑ってた
よ。

 そして六年生は成績に関係なく全員が中等部へ行って中学一年生
のお兄さんお姉さんのお仕置きを見学するってわけ。

 ただ、これは口ではうまく語れないほどの超、超、超地獄絵図で
す。
(-_-#)(+_+)…>_<… (×_×) (>_<) (x_x) (>_<")(ノ_・。)

 『じゃあ、高校生は半殺し?』(@_@;)

 まさか、ヤクザ映画じゃあるまいし(^_^;
 うちで一番厳しいのは中一。中二からはあんまり本格的な体罰は
なくなるんだって……

 『どうして?』(゜〇゜;)???

 もともと女の子は思春期前に厳しくしておくとその効果が一生涯
続くって先生たちは信じてるからやっているんで、以後は必要ない
んだってさ。
 それに思春期真っ只中でのお仕置きは性欲と結びつきやすいから
逆に注意しなければならないんだって……

 『じゃあ、男の子は?』(゜〇゜;)???

 女の子と同じかな。男の子も中二以降は自立を目指す教育に切り
替わるから体罰は控えるだって。お仕置きで善悪や行動を制御して
いたら自立はできないでしょう。∈^0^∋
 ただし、男の子は性欲との絡みが薄いから、体育会系では体罰は
まだあるらしいよ。

 『やられたことあるんだ』(◎-◎;)

 そりゃああるよ。三愛に入学して、みんなの前ですっぽんぽんに
ならずに卒業したなんて子なんて聞いたことないないもの。
 どんなに品行方正、成績優秀な子でも先生方が色々画策して罰を
受けるように仕向けちゃうんだ。

 『どうして?』(@_@;)

 だって女の子の世界では一人だけいい子なんて許してもらえない
だろう。一度はみんなの前でウンコして、みんなの前でお灸をすえ
られて、みんなにお股の中を見てもらわなきゃ仲間じゃないんだ。

 『すごい世界なんだ』(○_○)

 外の世界からはそう見えるみたいだけど、僕たちはここしか知ら
ないからね、これが普通で、当たり前なんだよ。

 だいたい、どの先生も普段はとっても優しくて、僕たち甘え放題
だろう。転入してきた子に、まるで幼稚園みたいだなんていわれる
くらいだからね。お仕置きがどんなに厳しくても身の不幸を感じた
ことなんて一度もないんだよ。

 『(○_○)』

 なんだ、信じられないって顔してるね。……でも、ホントだよ。
住めば都って言うじゃないか。(^◇^;)

 その証拠になるかどうか分からないけど……
 僕たちってウンコをトイレで流せないんだ。お浣腸のお仕置きを
する関係で今どのくらいお腹の中にウンコが溜まっているか先生方
が把握しておかないといけないからね。

 流すのは必ず大人たち。学校のトイレが汲み取りの時代は、全員
が自分のおまるを持ってたんだ。

 そのせいかどうか、学校でウンコをして立派なのが出ると、先生
より前に、まず友達に見せて自慢するんだ。\(^^\)三(/ ^^)/
 立派なのが出るってことはしばらくお浣腸のお仕置きを受けてな
い証でもあるからね。みんなに威張れたりもするんだ。(⌒~⌒;)

 『男の子の悪ふざけか……』

 何言ってるの。これって女の子がやることなんだよ。((^。^;)ノ

 汚いなんて思わないよ。みんな幼い頃からのなかよしだからね、
そういうことはあっけらかんとしてるんだ。
 ( ^▽^;)  (^∇^;) (^◇^;) (⌒-⌒;) ヽ(^_^;))

 あと、肝心な授業だけど、世間じゃ学習指導要領なんて難しいも
のがお上から下し置かれてるみたいだけど、僕たちの処ではそんな
の無視。

 そもそも学校に来ても教科書を開いての授業なんてあんまりしな
いんだ。

 国語と算数くらいなもんだよ、他の学校とそんなに違わないのは。
それだって読書感想文の時間とか、和歌の時間なんていう他の学校
にはない時間があって脱線につぐ脱線。肝心な内容、例えば九九の
暗記とかローマ字なんかは宿題ですましちゃうんだ。

 たしか、ローマ字は夏休みの宿題だったし、九九は「3週間後に
テストしますからそれまでに覚えておいてね」なんて言われた気が
する。

 社会や理科になるともっとすごいよ。とにかく先生たちが好きな
事やって時間を潰してるって感じなんだもん。

 社会は町の色んな場所、例えば工場とか農場とか港なんかへ見学
に行ったり、地図を作る下調べに山へ登ったり、駅前でアンケート
調査やったりだとか、県庁に陳情に行くなんてのまでであった。

 とにかくお外での活動が多くて教室に帰ってきても普通に教科書
を広げての授業は五回に一回あるかないかなんだ。

 理科も実験や観察が主体で、コレコレを覚えなさいなんて授業は
ほとんどなかった気がするもん。

 でもね、それでいて教科書にそったテストはちゃんとやるんだよ。
だからその分は常に家で勉強してなきゃならないんだ。(`ε´)

 でも、これっておかしいだろう。教えてもくれないことをテスト
して、あげくに出来が悪いってお仕置きなんだよ。こんな不条理が
世の中にあっていいのかって思うよ。(`ε´)

 それを言うと小田切先生も園長先生も返事は同じなんだ。

 「あっ、そう。ここは昔からそうなの。あなたがそんなに嫌なら、
よその学校へ転校してもいいのよ」
 だってさ。子供を馬鹿にしてるんだ。どうせお前たちはお父さん
やお母さんを説得できないだろうって高をくくってるんだよ。

 ま、そんなハンディはあるけどね……でも、本気になってここを
やめたいと思ったことは一度もないんだ。

 さっき、きついお仕置きのお話ししたから、どんな凄い処だろう
って思ってるかもしれないけど、僕みたいに寂しがりやで甘えん坊
な子にとってここはけっこう暮らしやすい場所なんだ。

 学校の方針でお勉強より仲良しこよしでいることが一番大事な事
って決まってるからね。クラスメイトがみんな優しいんだよ。
 もちろんいじめなんて受けたことないし、困っているとお友達が
みんなで手伝ってくれるしね。自慢にはならないけど図工や家庭科
の提出物の何点かはぼくの作品じゃないんだ。(^^ゞ

 先生だって……給食の時間に嫌いな食べ物があって食べられない
でいるとお膝に乗せて一緒に食べてくれたりするし、ただ寂しいと
いうだけでも職員室に行くと抱いてくれるんだから。

 幼稚園みたいと言われれば『そうかなあ』と思わなくもないんだ。
こんな学校、きっと世界のどこにもないんじゃないかなあ。

 そんなぬるま湯環境で育った子が、健二君から聞かされた一般の
学校に行きたいと思うかい?

 絶対にない。(`ε´)

 お仕置きなんか辛くってもお友達が助けてくれて先生からは毎日
抱っこしてもらえるここがやっぱり一番いいもの。
((( *゚∇゚)爻(゚∇゚* )))


**********バイ、バイ、(^ー^)ノ**********

電車<黄色>
*)この写真は記事とは関係ありません。

[ 第 4 回 ] 三愛のドッヂボール

            [ 第 4 回 ]

******* 三愛のドッヂボール *******


 三愛の授業が特殊だって、さっき言ったけど、体育の授業だって
そうなんだ。

 僕たちの体育ってたいていがダンスなんだ。それも種類は色々で、
クラシックバレイやフォークダンス、日舞まで、何でもダンスって
呼んで体育にしてしまうんだ。

 他の学校で一般的にやっている鉄棒や飛び箱、かけっこ、ボール
遊びなんかもあるにはあるけど五回に一回くらいかな。

 そうそう、ある日先生が珍しく「ドッヂボールをやりましょう」
なんて言うから始めたら、途中で笑い転げちゃったんだ。

 僕たちとしては先生から聞いたルール通りにやったつもりだった
んだけど、どうやら世間でいうドッヂボールとはだいぶ違ってたみ
たいなんだよね……

 だいいち、ぼく達はお友達を虐めてはいけないって日頃から口を
すっぱくして言われてるだろう。お友達にボールをぶつけるなんて
絶対しないんだよ。

 そんなことしたらたちまち村八分にされちゃうもん。

 この時も、内野の子がボールを投げる時は最初に、
 「投げますよ。ちゃんと取って下さいね」
 と言って投げるんだ。

 これって相手の子にぶつけるために投げるわけじゃないよ。その
子が取りやすい山なりのボールを投げるんだけど……

 僕たちって、普段はダンスばっかりやっててスポーツ音痴の子が
ほとんどだろう。そんな玉でも取り損なう子が大勢いるんだ。

 取りそこなった子は外野に出る約束なんだけど、その気持がちょ
っとよそとは違うんだなあ。(^_^)b

 『せっかくボールを投げてくれたのに取れなくて御免なさいね。
投げてくれた人に悪いから外へ出ます』って意味なんだ。

 外野の子も『敵の内野の子にボールをぶつければ、自分が内野に
入れる』っていうルールは知ってるんだよ。知ってるけど、そんな
ことは絶対にしなくて、外野に転がってきたボールは手渡しで敵の
内野に返してあげるんだ。

 「どうぞお使いください」って言ってね。

 もちろん内野の子も、「ありがとう」と言って受け取るんだけど、
その時……

 「ねえ、あなたも内野に入らない」
 って誘うからね、いつまでたっても内野が減らないというわけ。

 そうこうしているうちに試合終了。

 内野の数を数え始めるんだけど、もし、その時内野の数が違って
いたら敵の方から声がかかるんだ。
 「ねえ、ねえ、早く早く、内野に入って」

 つまり、僕たちの常識では、試合はいつも引き分けでなきゃいけ
ないんだよ。

 もちろん、これってヤラセなんかじゃないよ。僕たちとしては、
先生に言われた通りにやったつもりなんだ。でも、僕たちのルール、
つまり三愛のルールでやると自然にこうなっちゃうんだよね。

 僕たちには、先生がおっしゃった『お友だち』が『敵』になると
いう意味がわからなかったんだ。

 体育の大河内先生は外からみえた先生だから頭を抱えてたけど、
側で見ていた園長先生は……
 「いいじゃないですか、うちらしいドッヂボールでしたよ」
 って褒めてくれたんだ。

 高学年になると少しだけ対抗意識も芽生えるけど、それまでは、
『何でもお友だちと一緒にできるようになりたい』『先生に褒めら
れれば嬉しい』って、それだけのスクールライフだったんだ。

 もちろん人間だからね、見栄を張ったりとか嫉妬心で仲違いした
りってのはあるんだけど、先生の権威でそういうのはいけないこと
だって教えられてるから、それで困ったってことはなかったんだ。

 お母さんに聞いたらそんなのを『重石が効いてる』って言うんだ
ってさ。

 そんな先生の重石を高める原動力には二つあって、一つが愛情。
とにかくどの先生も子供たちが抱きついてくるのを嫌がらないから
ね。休み時間になると教室は甘えん坊さんたちの天国。いつも誰か
が先生の首っ玉にしがみついてるよ。(^◇^)

 『先生は優しい大人、いつも抱いてくれる大人』なんだ。

 そして、もう一つがお仕置き。普通じゃ考えられないほど厳しい
らしいけど、僕たちからすると、学校の先生というのはお父さんや
お母さんなんかと同じくらい親しい間柄だからね、叱られても、お
仕置きされても、終わると『ま、仕方がないか』って単純に割り切
れちゃうちゃうんだよ。

 そういえば、クラシックバレイを教えてた神林先生は他の先生と
比べても飛びっきり厳しかった。

 まじめに練習しないと罵声が飛ぶし、ちょっとでもふざけてると
すぐに平手でお尻を叩くし、出来ない子には他の授業を欠席させて
もとにかくできるまでやらせるんだ。

 僕もそうやって居残り練習させられたことが何度もあったんだ。

 バレイといっても別にプロを目指してるわけじゃなし、たしなむ
程度のお遊びなんだから、そんなにむきにならなくても…とは思う
けど、先生にはそんなの関係ないみたいだった。

 おかげでバレイの授業はいつもピリピリムード。

 ただ、みんな子供だからね、『集中して』とか『お行儀よくしな
さい』と言ってもそこには限界があるんだよねえ。(^◇^;)

 あれは五年生の時だったなあ。(-.-;)y-゜゜

 『五年生?この物語の設定ではお前は二年生じゃなかったか?
お前、時々、歳が先に行ってるぞ』

 硬い事言っちゃ嫌だなあ。このお話はあくまで回想なんだから。
それに人の話は最後まで聞きなよ。(`ε´)
 五年生はお姉ちゃんが五年生、僕は二年生の時の話なんだ。

 バレイの授業中、神林先生がおしゃべりが止まらなかった女の子
三人組を昔練習場で使っていた準備室に追放してたら、この三人、
マリア様への懺悔に飽きたんだろうね、古い練習用のバーに乗って
遊んでたんだ。

 「ガシャン、ドスン」

 大きな物音に驚いて神林先生が準備室へ行ったら、うちの馬鹿姉
が壊れた手すりに足首を挟まれて逆さ吊りになってたというわけ。

 本当は三人共マリア像の前に膝まづいて反省してなきゃいけない
んだもん。先生だってそりゃ怒るよね。(⌒~⌒;A

 三人は放課後呼び出されてお仕置きを受けることになったんだけ
ど、中でもうちの姉は三人の中でも首謀者ということで、他の子供
たち以上にキツイお仕置きが科せられる事になって、ちょうどいい
からって、身内の僕たちもお手伝いさせられるはめになったんだ。

 それにしても身内だからって連帯責任はひどいよね。
 本当、えらい迷惑だった。(×_×)

 お仕置き部屋に入る前、牧村先生(姉の担任の先生)からは「お
手伝い、お願いね」なんてやさしい言葉だったけど、部屋に入ると
園長先生や日舞を教えていた樺島先生までもが怖い目で姉達の様子
を見てるからね。

 幼い僕たちにだってこれが大変な事だってわかったんだ。(@_@;)

 お仕置きの先生はいつものように内藤先生。僕たちはいつも『お
仕置きの先生』なんて呼んでたけど本当は教務主任っていうお仕事
なんだって。(^○^)

 その先生がお姉ちゃんたちを前が少し傾斜してるお馬に乗せと、
スカートを捲り上げて、パンツをずらして、大きなお尻がむき出し
になるようにしてから、こう言うんだ。

 「お尻に当たる一回一回の痛みが、お父様やお母様、川野辺先生
(お姉ちゃんの担任の先生)、園長先生、牧村先生、そして何より
マリア様からの愛だということを感じ取って今日はお帰りなさい。
いいですね…………あれ?ご返事は?…………いいですね」

 「……は、はい」

 「では最初はお父様」
 こう言ってから最初の鞭を下ろすんだ。

 「ペタッ」っていう感じかな。乾いた感じの音じゃないんだ。僕
の経験で言うと、最初は電気に痺れたみたいにぶるぶるってするよ
(*^_^*)

 で、それが収まったら、すぐに…
 「お父様、お鞭ありがとうございました。必ずいい子になります」
 って言わなきゃいけないの。

 本心じゃないし、言いたくないけど、言わなきゃこのお仕置きは
終わらないからね。恥ずかしい格好のまま子供たちは感謝の言葉を
述べるってわけなんだ。

 やがて……
 「次は、お母様……」
 という内藤先生の声がして……また、

 「ペタッ」

 二回目は最初よりちょっぴり痛いけど、このくらいならまだ余裕
のはずだよ。

 で、お姉ちゃんは……
 「お母様、お鞭ありがとうございました。必ずいい子になります」

 そして……
 「次は、園長先生……」
 という声になり……

 「ペタッ」

 三回目。この頃からは少しずつ『あ、痛いなあ』って感じるよう
になるんだ。
 そんな時はお馬の首にしっかりとしがみ付いて痛みを逃がすの。
三愛学園のお仕置きって舞台装置は凄いけどSMじゃないからね、
少しでもほかの事で気を紛らわすことができれば耐えられる程度の
痛みしか与えないんだよ。

 「園長先生、お鞭ありがとうございました。必ず……いい子に…
…なります」

 園長先生の時は声が痰が絡んでかすれちゃったからね、もう一度
って言わなきゃいいなあって思ってたけど……やっぱり……

 「もう一度、園長先生に感謝しましょう」
 って内藤先生に言われちゃったんだ。

 そのあたりは内藤先生のさじ加減一つなの。だから申し訳なさそ
うにしていないと、やれ「声が小さかったからもう一度」だとか「心
がこもってないと懺悔の言葉は通じませんよ」なんて言われて散々
やり直しさせられる子もいるんだ。

 これに限らずお仕置きを受けてる時は従順で謙虚にしてないと、
罰がどんどん増えていくからね、気の強い子は大変だよ。

 「園長先生、お鞭ありがとうございました。必ずよい子になりま
す」

 ああ、分かってるだろうけど、これは別にお父さんやお母さん、
園長先生がぶってるわけじゃないんだよ。全部、内藤先生が一人で
ぶってるの。ただ、そのお礼はそれぞれの人に言わなきゃならない
んだ。

 ちょっと変な気もするけど、鞭のお仕置きではこれがうちの普通
の姿、つまりお決まり(規則)ってやつなんだ。

 このあと内藤先生は「川野辺先生」や「牧村先生」の名前をあげ
て、お姉ちゃんたちはお尻に鞭が当たるたびにその人たちの名前で
お礼の言葉を言い続けることになるんだ。

 そして、最後は必ずマリア様。

 「マリア様、お鞭ありがとうございました。必ずよい子になりま
す」
 なんだ。

 だから内藤先生の口から『マリア様』って言葉が出ると、みんな
ほっとするんだよ。

 結局この時はお姉ちゃまたち、大きなお尻をトォーズで六回ずつ
ぶたれたんだ。

 『えっ、十一歳の子だから、そんなに大きいお尻じゃないだろう』
って……

 そんなことないよ。(^◇^;)大人の人たちにとってはお姉ちゃまの
お尻は可愛いお尻なのかもしれないけど、僕たち幼児にとっては。
単に邪魔なほど大きなお尻ってだけなんだもん。

 それはともかく、こんな風に描いちゃうと、何だかとっても残酷
なことをしているように思えるかもしれないけど、鞭は先生たちも
加減してぶつから、お馬さんの首っ玉にしっかりしがみついていれ
ば、たいていは悲鳴をあげずに済むくらいの痛みでしかないんだ。

 それより、このお仕置きは、みんなの見ている前でパンツを脱が
されるだろう、そのことの方がよっぽどショックだったよ。

 実は三愛のお仕置きというのは辱(はずかし)めが目的になって
るものがほとんどなんだ。

 お姉ちゃんも最初の鞭が終わって僕たちを初めて見た時は、もの
すごくショックだったと思うよ。
 一瞬、目が点になってたもん。(x_x)

 そして、しょげ返っているお姉ちゃまたちの前に出てきたのが、
神林先生なんだ。

 「今日のあなたたちにはがっかりしました。もう少し聞き分けの
よい子たちだと思っていたのに残念です。きっと、そのお口とお腹
には何かおしゃべりしてないと痒くて仕方がない、ばい菌がついて
いるのかもしれませんね。……ね、そうなんでしょう?」

 神林先生は三人のお姉ちゃんたちのうつむいた顔を一人ずつ順番
に下から覗き込んだんだけど、三人はただただ首を振るだけで何も
言わなかった。

 というか、言えなかったんだろうね。
 そんな馬鹿な質問には答えられないもん。

 僕にも経験があるけど、こんな時に先生と議論するなんて怖くて
できないんだ。自分たちの方が悪いってこともわかってるし……
 普段は仲のよい友だちのように何でもお話できるやさしい先生も
こんな時は怖い怖い鬼のように見えるんだ。だいたい、体の大きさ
だって、力の強さだって段違いなんだからそれは仕方ないよね。

 『今はただただ嵐の過ぎ去るのを待っている』
 そんな感じかな。

 だから……
 「これから一人ずつお口を洗います」
 なんて言われて、小さな石鹸を口の中に放り込まれ、先生の指が
乱暴に口の中で暴れても、それは必死に我慢するしかなかったんだ。

 そして……
 「やはり、お口の中だけじゃだめね。あなたたちにおしゃべりを
させてる悪魔はきっとお腹の中で暴れてるんでしょうから、お腹の
中も綺麗に洗ってしまわなきゃ、あなたたちのおしゃべり癖は治ら
ないわね」

 先生の言葉は三愛用語なの。一般の言葉に翻訳すると……
 「お浣腸しましょうね」
 って、これだけ。(^_^;)

 当然、お姉ちゃまたちの顔は真っ青、僕にしても『え~~あれ、
やるの~~(^_^;)』って感じだけど、よくも悪しくも僕たちって、
先生方のよい子だろう、勇気のない僕なんてどうする事もできない
んだ。


**********バイ、バイ、(^ー^)ノ**********


ぽっぽ汽車<小>
*)この写真は記事とは関係ありません。

[ 第 5 回 ] 姉のお仕置き

          [ 第 5 回 ]

 ****** 姉のお仕置き ******

 こんな時、他の学校の生徒だったらどうするんだろう。
 泣き叫ぶ?この場から逃げ出す?それとも、必死になって先生に
ごめんなさいする?

 でも、お姉ちゃまたちは何もしなかった。というより、僕たちの
世界では「お仕置きをします」って大人に言われたら、おとなしく
そうするのが子供の務めというか当たり前になっているんだ。

 僕たちは先生からのお仕置きに、悲鳴を上げることも、いやいや
することも許されてないんだ。もちろん、今さら『御免なさい』な
んてしても許してはもらえないしね。

 よい子は大人たちの愛(お仕置き)を素直に受け入れなきゃいけ
ないのよって教わるんだ。

 もちろん、物心ついて間もない頃は僕もたくさんイヤイヤしたよ。
 でもその結果は、『もっともっと沢山の愛をもらうだけだ』って
悟ったんだ。c(>_<。)
 というか、悟らされたんだ。

 お父様もお母様も、三愛の先生たちも、神父様も、僕を取り囲む
大人達はみんなみんな妥協って言葉を知らないからね、子供の方は
『どうしようもないな』って諦めるしか方法がないんだよ。

 昔は自分の考えを言ったり議論を挑んだりする子よりそうやって
諦める子がよい子だったんだ。

 だからお姉ちゃまくらいの歳になるとね、無駄な努力はしなくて
…………

 「はい、先生」

 みんなそう言って自分からベッドに仰向けになるんだ。

 これってね、学校だけじゃないよ。おうちでも同じことなんだ。
 お父さんやお母さんにしてもこんなよい子が嬉しいんだろうね、
よく近所のおばさんに僕たちのお仕置きを公開してた。

 (ほんとだよ。昔は公開処刑(?)なんて珍しくなかったんだから)

 すると、見ていたおばさんたちによく褒められるんだ。
 「まあ、よく仕付けられてるお子さんですこと。感心だわ」
 「うちの子なんか、ちいちゃんと学年は同じなのにお仕置きって
言うと大暴れして毎回大変なんだから」
 「うちもそうよ、それらしい気配を感じるのね。気がついた時は
もう逃げてるの」
 ( ^▽^;)  (^∇^;)  (^◇^;)  (⌒-⌒;) ヽ(^_^;))
 ってね。

 でも、僕はちっとも嬉しくなかった。(`Д´≡`Д´)??

 さて、お姉ちゃまたちだけど、もうこの後は内藤先生や神林先生
の言いなりなんだ。

 「あなたのように我の強い子は、入念に愛を授けてあげなければ
いけないわね。だから、今日は弟さんたちもお呼びしたのよ」

 お姉ちゃんはベッドに仰向けになったまま僕たち二人を見つめた
けど、表情はほとんど変えなかったんだ。
 今さら、取り乱しても仕方がないと思ったんだろうね。

 僕が近所のおばさんたちに代わって言ってあげるよ。
 『まあ偉いわあ。きっとお父様お母様がきちんと躾られるのね。
女の子はこうでなくちゃ。うちの子なんてあんまり暴れるからお股
の中にまでお灸をすえたのよ』
 ってね。(^_^;

 僕はお姉ちゃんの困った顔を見ながら、昔のことを思い出しては
心の中で笑ってたんだ。
 でも、みいちゃんはそうじゃなかったみたいなんだ。

 「ねえ、先生、お姉ちゃま許してあげて……お願い」
 その瞬間、みいちゃんは神林先生の腰に抱きついたんだ。

 「ねえ、お願い、お願い、お姉ちゃんの悪い処は僕が治してあげ
るから……ねえ、許してあげて……お姉ちゃまが死んじゃうから」

 びっくりしたなあ。僕なんてお姉ちゃまのこれからのお仕置きを
想像してむしろ心の中で笑ってたんだよ。同じ日に、同じお母さん
のお腹から生まれてるのに、えらい違いなんだもん。

 もちろん、先生の答えはノーなんだけど……

 「まあ、みいちゃんは優しいのねえ。でも、心配しなくていいの
よ。お仕置きは刑罰や拷問じゃないからそんなにきつい事にはなら
ないわ。死んじゃったりしないわよ」

 神林先生がみいちゃんを抱き上げるとその周りにいた園長先生や
樺島先生も集まってきて……

 「あら、あら、涙なんか流しちゃって、嫌なこと頼んじゃったか
しらね。大丈夫よ。お仕置きでそんな凄いことにはならないから。
おいたをした子が先生方から『めっ』ってされるだけだもん」

 園長先生が言えば、樺島先生だってその涙に濡れたほっぺを突っ
つきながら……

 「まあまあ、あなた、いいお顔してるわね。本物の天使さんね。
あなたみたいな子が三愛にはふさわしいわ……」

 三人の先生はお姉ちゃん達のお仕置きを一時中断してみいちゃん
をあやし始めるから、僕、何だか置いてきぼり食っちゃった感じだ
ったんだ。

 『やめろよバカ。おまえ、そんなことしたら自分だってお仕置き
されるかもしれないんだぞ。だいいち、そんなことしたって、先生
たちがお姉ちゃんを許すはずないだろう』

 僕は最初そんなことを思ってた。
 たぶん僕の方が理性的だとは思うんだけど……
 う~~ん~~やっぱりこれって嫉妬かなあ。(-_-#)

 どのみち僕にはそんな勇気なんて沸いてこないからね。みいちゃ
んってやっぱり偉いと思うよ。(◎-◎;)

 で、それからどうなったかというと……

 ご機嫌斜めのみいちゃんは戦線離脱。
 仕方がないから僕だけお姉ちゃんのお仕置きを手伝ったんだ。

 それなのに、お姉ちゃんも機嫌が悪かった。
 お仕置き中だからね、そこで弟と口喧嘩なんてできないんだろう
けど、刺すような視線で僕を非難するんだ。

 『同じ歳の弟なのに、お前は私をかばってくれないんだ』
 ってね、そんな目をして僕を睨むんだもん。

 『イヤだな、女の嫉妬って……だいたい自分のせいでこうなった
んじゃないか。ここに来たのだって僕が行きたいって言ったんじゃ
ないんだぞ!』
 僕は心の中で叫んでた。

 あっ、そうそう…どんなことをしたかというとね。
 お姉ちゃんが黒い革のベッドの上で両足を上げて開いたらお股の
中にあるお尻の穴に大きなビーカーみたいなものから続くゴムの先
に付いた栓をそこへ押し入れてあげるんだ。

 実際には、ゴムの先についた栓を僕が右手で握り、その上から神
林先生の大きな右手が包み込んで、お姉ちゃまのお尻の穴を目指す
んだけど、操作してたのは全て神林先生なんだ。

 「ほら、また~お尻に力をいれてる。そんなことしてるとお浣腸
の先がお尻の穴に入らないでしょう。あんまりイヤイヤしてると、
別のお仕置きを追加しますよ」(ー。ー;

 お姉ちゃんも今さら抵抗するつもりなんてなかったんだろうけ
ど、あれって緊張するとお尻の穴って締まっちゃうんだ。

 よういやくねじ入れて……
 最後にコックをひねってビーカーの浣腸液をお姉ちゃまのお尻の
穴に流す『開通式』だけは僕一人の仕事だったんだ。

 終わると……

 「弟さんに、ありがとうは?」
 内藤先生に促されて仕方なくって感じだけどお姉ちゃまから…
 「ありがとう」
 ってお礼を言ってもらったんだ。

 何にしても僕は心地よかったけど、それからのお姉ちゃまは地獄
だったみたいだね。

 先生方にオムツをはめてもらい、小さな椅子の前に膝まづいて、
肘掛を両手で持ってウンチを我慢するんだ。
 もちろん、僕だってやられたことあるけど……

 キツイよ~~~

 我慢しなきゃいけない時間というのはその子の年齢や体格、今の
体調やお薬の種類や量になんかによっても細かく違うみたいだけ
ど、だいたい二十分位かな。
 でも、それって気の遠くなるほど長い時間なんだ。

 その間に、『もうダメ』『もうダメ』って何回思ったかしれないも
の。漏らさずに終わった時は『奇跡だ』と思ったよ。

 つまり、普通なら、一定の時間が来るとおトイレ(といっても、
三愛の場合はオマルだけど)を許してもらえるんだけど……
 お姉ちゃんは他の二人がオマルが許されたのにとうとう最後まで
トイレに行かしてもらえなかったんだ。

 きっと、首謀者だから特別な罰なんだろうね。(ノ_・。)

 「いいですか、今日は泣いても叫んでもオマルは許しませんから
ね」

 内藤先生の声。激しく首を振るお姉ちゃまに向かって今度は神林
先生が追い討ちをかけるように冷たく言い放つんだ。

 「あなたのような子は我慢だけでは足りないの。自分のウンチの
冷たさをしっかりお尻でしっかり受け止めて反省なさい。いいです
ね」

 僕のような小心者でも神林先生の声が悪魔の声に聞こえて、思わ
ずその腕に噛り付いてやろうかって思ったほどだったんだ。

 でも、一定時間を過ぎてもお姉ちゃんが頑張り続けているから、
今度は先生たちも少し優しくなって、お姉ちゃんのお腹をさすり始
めた。

 「いつまで我慢してるの。いつまで頑張っても結果は同じよ。…
…さあ、もういいから」
 「……ね、出しちゃいなさい。その方が楽になるでしょう」
 
 「いやあ、だめ、だめ」
 お姉ちゃんは半狂乱のようになって抵抗し続けたんだ。

 そりゃあみんなの見ている前でウンチするのも辛いけどオムツに
お漏らしするのはもっと辛いもんね。

 『意地っ張りだかなあ、お姉ちゃんは…出しちゃえばいいのに』
 僕はそう思ってた。

 でも、お姉ちゃんにあとで訊いたら……
 「あの時は恥なんかかいても出したかったの。とにかく楽になり
たかったけど……でも、身体が言うことをきかなかったのよ」
 ということだった。

 いずれにしろ、先生たちのお腹擦りの効果もあってか、それから
しばらくしてお姉ちゃまは陥落するんだけど、白い練習用のバレイ
タイツがウンチで黒く染みてくるのを見た時は、さすがに、幼い僕
だって引いたね。

お姉ちゃんには申し訳ないけど『ばっちい』って思ったもの。
(-_-#)

 ところが、先生たちはそれが平気なんだよね。
( ^▽^;)(^∇^;)(^◇^;)
 むしろ、どこかそれを喜んでるみたい。みんなで寄ってたかって
お姉ちゃまの汚れたオムツを剥ぎ取ると、お股の中を蒸しタオルで
綺麗にしてから新しいオムツを穿かせてくれたんだ。

 もち、お姉ちゃんの方はその間ずっと鼻をならして泣いてたけど
……

 というわけで、お姉ちゃんたちの学校でのお仕置きは終わったん
だけど、これでお姉ちゃまへのお仕置きがすべて終わったわけじゃ
ないんだ。

 三人のお姉ちゃんたちにはお手紙が渡されて、おうちでもお父様
お母様からお仕置きを受けなきゃならないんだ。
 つまり、お仕置きの宿題。

 渡されたお手紙には学校でどんな悪さをしたか、どんなお仕置き
を受けたか、そして家庭ではこういうお仕置きをしてくださいって
書いてあるんだ。
 そうそう、お仕置きの様子を写した写真まで添えてあるんだよ。

 お手紙には、ご家庭でお灸のお仕置きをしてくださいって書いて
ある事が多い。今の子は艾を直に肌に乗せて火をつけられたなんて
経験がないだろうから、その凄さが分からないだろうけど、そんな
お手紙をもらった日はどこをどうやって帰ったのにか覚えていない
くらいのショックなんだ。(ノ_・。)

 おまけに次の日の朝は、ちゃんと宿題をやってきたか園長先生が
チェックするからね。園長室でまた下半身をすっぽんぽんにして親
にやってもらったお灸の痕を先生に見せなきゃならなきゃならな
い。三愛のお仕置きは徹底してるんだ。(ノ_・。)

 この後は園長先生のお膝で良い子良い子してもらっておしまい。

 こんな先生とのラブラブをたまたま目にしたから、健二君はここ
がまるで幼稚園みたいだって言うんだろうね。だけど、これは僕達
にすればお仕置きを受けた当たり前の報酬なんだよ。

 僕たちとって先生というのは、大きくて、優しくて、いつもよし
よししてくれる人のことなんだ。それはお仕置きされたからって変
わったりしないけど、いつも僕たちを愛しているという証は必要な
んだ。

 『まるで赤ちゃんみたいな教育で大丈夫か?』って心配する人も
いるみたいだけど、僕たちの先輩もお父様やお母様に可愛がられ、
先生に愛されてここを巣立ったけど、自立できなかったなんて子は
一人もいないみたいだもの。

 もちろん、当時のお灸は千年灸なんかじゃないから飛び切り熱い
し痕だって残ってるけど、女の子たちなんかお風呂に入るとお互い
のお尻についたお灸の痕を見せ合ってははしゃいでるくらいなんだ
から影響ないんじゃないかなあ……
ヽ(∇ ̄ヽ)三(ノ ̄∇)ノ\(^^\)三(/ ^^)/((( *゚∇゚)爻(゚∇゚* )))
 ほんとだよ。(*^^)v

 ぼく達はみんな三愛の子、お尻に灸痕があるのが当たり前の子、
でもみんな仲良しのお友だち、それでいいと思ってるんだよ。
(^△^;)   ( ^▽^;)    (^∇^;)    (^◇^;)
(⌒-⌒;) ヽ(^_^;)) ((^。^;)ノ (⌒~⌒;A

*********バイバイ、またね**********

<登場人物>

【おうちの人たち】

僕(小2)……ちいちゃん
これといって才能はないが、長男だから何かと優遇されている
  幸せ者

弟(小2)……みいちゃん
僕よりちょっぴり気弱だけど、理数系に強く、感受性も豊か。
  とっても可愛い顔をしているからみんなに好かれている。

姉(小5)……お姉ちゃん
近所ではメジラと呼ばれ恐れられている乱暴者。姉御肌で体
   育会系。茜ちゃんとも呼ばれている。

従姉妹(中1)…セイちゃん
事情があってうちで預かっているけど、清楚で上品、頭もいい。
  僕はマリア様みたいに思っている。清美お姉さん。

お父さん(質屋店主)
    東洋哲学と書道が生きがい。お金にならない事ばかりして
    暮らしている道楽者。お母さんには頭が上がらない。

お母さん(お父さんの奥さん)
   怒ると信じられないほど怖いけど普段は優しい一家の大黒柱

おばあちゃん(お父さんのお母さん)
    近所におじいちゃんと住んでいる。お姉ちゃんにはなぜか
    やたら厳しい。メジラお姉ちゃんの天敵。お灸マニア。

ハナさん(お手伝いさん)
家事がまったくできないお母さんに代って我が家で主婦を
    しているおばあちゃん

【三愛学園の先生たち】

担任/小田切先生(僕たちの担任、国語と社会を教えてる)

体育/大河内先生(お外の授業と保健)

体育/神林先生(バレイ)

体育/樺島先生(日舞)

理科/丸山先生

音楽/仁科先生(合唱)

音楽/小林先生(ピアノ)

姉の担任/牧村先生

バスターミナルの先生たち
 シスター天野(老婦人)/ バスターミナルで生徒の誘導
 高宮先生(若い先生) / バスに一緒に乗り込んで点呼

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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